「ベストアーティスト2020」でジェジェンがカバーしたMISIAの「逢いたくていま」を聴いた。
これは9月から10月にかけて日本に短期間滞在した折に収録されたファンクラブ限定のオンラインコンサートの中で歌われたものがオンエアされたものだ。
この曲をあらためて聴き直すと、彼の良い点と問題と感じる点が浮き彫りになってくる。
ジェジュンという人は、曲の雰囲気を掴んで歌い出すのが非常に上手い。
これは東方神起時代から、曲の歌い出しを担当することが多かったが、抜群のセンスだった。
即ち、イントロの音楽の雰囲気と音色をそのまま受け取って同化して歌い出す。
この感性が抜群に優れていると感じる。
これは、ソロになっても変わらない彼の持ち味の1つだ。
この曲に於いても、
「初めて出会った日のこと 覚えてますか」
この歌い出しが見事だと感じる。
イントロからの音楽をソッと受け取り、流れている音楽に同化していくのである。
非常に自然体の歌い出しだ。
この曲に於いても、その持ち味は十分発揮されたと感じる。
また日本語がオリジナルでは不明瞭になる部分があるのに対し、カバー曲では非常に明確だ。
1つ1つの言葉を丁寧に紡いでいく。
スローなこの曲の音楽の流れの中で、十分に耐えうる発音をしている。
緩急のない日本語を音楽の流れの中で強弱をつけて処理する能力が上手いと感じた。
これらの良い点に対し、問題点と感じたのは、やはり声のボリュームだった。
サビへと移っていくフレーズの中で、本来の彼の持ち味なら、十分聞き応えのある声量を発揮する部分において、やはり一枚幕が張ったような状態であり、声がこちら側に突き破ってこない。
2週間に及ぶ隔離生活の中でのコンディション作りの難しさの影響は出ていたと思われる。
声の伸びというよりは、全体的なボリューム不足は否めなかった。
年末にかけて、音楽番組の特番が組まれることが多いが、コロナ渦の中、歌手はやはり本番が極端に少ない状況の中で、コンディションを維持するのは非常に難しいと思われる。
特に彼の場合は、韓国へ戻ると一切歌手活動はない状態に追い込まれるため、歌唱力の維持という点で非常に難しい環境に置かれることは避けて通れない。
その上でどれだけ維持できるかは、本人の自覚にかかっており、歌手活動そのものを維持できるかも本人の自覚次第、ということになる。
それには一刻も早いコロナの収束が不可欠な要素になってくる。
韓国人である彼が、JPOPをカバーする、JPOPを歌う、ということが、JPOP音楽の世界への発信というものを考える点で、非常に有意義な存在であるという事実からして、彼が1日も早く従来の日本での歌手活動を再開出来ることを切に望むものである。
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