たったひとりのアーティスト、たったひとつの曲に出会うことで、人生が変わってしまうことがあります。まさにこの筆者は、たったひとりのアーティストに出会ったことで音楽評論家になりました。音楽には、それだけの力があるのです。歌手の歌声に特化した分析・評論を得意とする音楽評論家、久道りょうが、J-POPのアーティストを毎回取り上げながら、その声、曲、人となり等の魅力についてとことん語る連載です。

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J-POPという言葉は1988年に出現しました。その後、1990年代はCD全盛期で、その時代の象徴的存在の一つにミスチルがあります。今年30周年を迎えたバンド「Mr.Children」(以降ミスチル)は、1992年にデビューして以来、数々の記録と多くの賞を獲得し続けてきました。今回はそのミスチルの中心的メンバーである桜井和寿を中心に彼らの音楽について書いていきたいと思います。

モンスター並の記録を次々と打ち立てた

ミスチルはボーカル・ギターの桜井和寿、ギターの田原健一、ベースの中川敬輔、ドラムスの鈴木英哉の4人から構成されているロックバンドです。

関東高等学校(現・聖徳学園)で一緒だった桜井、田原、中川の3人が初めてバンドを組んだ時は「Beatnik」というバンド名で、その後、「THE WALLS」に改名し、鈴木英哉が加わって現在の形になりました。

1989年、彼らはバンド名を「Mr.Children」に変えて、ライブハウスなどで精力的に活動を行い、1992年にレコード会社トイズファクトリーからミニアルバム『Everything』でメジャーデビューしました。

彼らが1993年発売した4枚目シングル『CROSS ROAD』はロングヒットでさらにミリオンセラーとなり一気にブレイクを果たしました。また、1994年発売の5枚目シングル『innocent world』では初のオリコンチャート1位、その後、6枚目シングル『Tomorrow never knows』、1996年の10枚目シングル『名もなき詩』はダブルミリオンとなるなど、シングル10作品でミリオンセラーという輝かしい記録を打ち立てています。

さらにアルバムでは、4thアルバム『Atomic Heart』(1994)と6thアルバム『BOLERO』(1997)がトリプルミリオン、5thアルバム『深海』(1996)とベスト・アルバム『Mr.Children 1992-1995』(2001) がダブルミリオンを取るなど、アルバム14作品でもミリオンセラーを達成するという偉業を成し遂げています。

このようにCD全盛期にモンスター並みの記録を次々と打ち立てたミスチルは、まさに、この時代のJ-POPの象徴的存在とも言えるでしょう。

プロデューサー小林武史の存在

 

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Mr.Children『人生に彩りを与え続けるクリエイター』人生を変えるJ-POP[第12回]|青春オンライン (note.com)