417日、大阪オリックス劇場で行われた手越祐也 LIVE TOUR 2022NEW FRONTIER」を友人と拝聴した。

2月に行われるはずだったものがオミクロン株の流行で延期されたものだった。

私はジャニーズのライブというものに参加した経験が全くない。だが一緒に行った友人は何度かあるらしく、ライブの雰囲気がやはり似ているように話していた。

先ず、会場に行って驚いたのは、ファン層の若さだ。若い女性が多く、中には中高生と思われる人達も一定数いる。

さすがジャニーズ出身の歌手は違う。これが同じアイドルでも韓流になれば、圧倒的に中高年の女性が多くなるのとの大きな違いだ。

だから、開始前の注意喚起なども、手越スタッフ?と思われる人が完全に上から目線、もしくは同年代目線で、参加者に話すという形式だった。

この点については、少し見解を持つが、それは後で書くことにして、実際の彼の歌について、気づいたことを書いてみたい。

手越祐也の生歌は初めて聞いた。

よくCDでは素晴らしいのに生歌になると、それほど上手くない、という歌手がいるが、彼の場合は、生歌も音源と全く変わらないレベルの歌を披露した。

当日、私の記憶によると、彼が歌った曲は以下のとおり。(知りたくない人は、これ以下の内容を読むのをお勧めしません)

ウィンク

ARE U READY

Hello!

挨拶

Venus Symphony

Snow White

シナモン

ONE LIFE

MC

七色エール

HONEYYY

LUV ME,LUV ME

LOVE SENSTATION

プロポーズ

アンコール

Addict

DoLLs

モガケ!

ライブレビューというものは、何度か書いているが、個別の歌についてレビューすることは非常に難しい。

なぜなら、ライブという空間での共通体験をすることで、全体の印象を感じるからだ。

そのことから言うと、今回のライブで感じたのは、ステージの暗さだった。

私の席は上階席で、ステージを見下ろす形になった為、特にそう感じたのかもしれないが、今まで経験してきた数多くのライブの中では一番暗いと感じた。

ただ友人は、「あー、ジャニーズのライブって感じ」と話していたので、それがその通りなのか、そうではないのかは、ジャニーズのライブを未経験の私にはわからない。

しかし、手越祐也の歌は非常にレベルの高いものだったと感じる。

数多くの楽曲の中で印象に残ったのは、『シナモン』と『モガケ!』

柔らかい歌声で全編が歌われる『シナモン』と、力強く明るい歌声で歌われる『モガケ!』は、対照的な歌声で彼の幅広い表現力を感じさせるものだった。

『シナモン』の音楽は全体に横に流れている。この流れに対し、彼の歌声はそのラインに沿って非常に滑らかに歌われていく。やや幅の広いソフトな響きを多用し、彼の特徴の一つである尖った明るめの音色を消している。

これに対し、『モガケ!』は全く違う音質の歌声を披露している。

あくまでも明るくパワフルで尖り気味の音声は、伸びやかな歌声だ。

特に、冒頭の1フレーズをマイク無しで歌うということで、その声量と響きを十分に聞かせるものだったと思う。

このマイク無しの歌声というのは、最近、ライブでよく登場する。と言っても、やはりそれは、声量があり、それなりに歌手自身に自信がないとできない行為でもある。

即ち、それが出来るということは、裏返せば、それだけの訓練を積み、努力してきたという自負が歌手自身になければ、到底できない行為である。

手越祐也がアイドルからソロ歌手にスムーズに転換できるのは、ボイストレーニングを日頃から、きちんとしてきているという自信があるからで、それは、彼がアイドル時代からコツコツと培って来たもの、ということになる。

彼が今後、アーティストとして幅広い世代のファンを獲得していくには、コンセプトを転換していく必要があるかもしれない。

ファン層の年齢層をもう少し上げ、さらに本物志向のファン層を獲得していくことは、かれがアーティストとして認識されていくのに必要なことだろう。

それには、全体のライブの作りやスタッフのファンへの対応なども、年齢層が上の人に対する配慮が必要かもしれない。

また、これだけ歌えるのであれば、もっとしっとり歌って聞かせるバラード曲などにも挑戦していくことで、大人の手越祐也に脱皮していくことが求められるかもしれない。

日本の観客は、非常に耳が肥えている。

これらの観客層にしっかりアピールしていくことが、アーティストとしての認識には非常に重要なことになる。

彼にはぜひ、大人のアーティストへの脱皮を図り、さらに飛躍していくことを願っている。