いつも J-POPばかり評論しているので、K-POPは聴かないのか?と言われればそうではない。

元々、好きな歌手は韓国人だし、K-POPのグループの音楽もいくつも聴く。

ただK-POPの場合は、グループとしての音楽が確立されている為、なかなかソロ曲を聴く機会がないのと、それぞれのメンバーの歌声を聴き分けるには、かなり聴き込む必要がある為に、どうしてもレビューを書くまで聴き込む時間的ゆとりがないのが現状だ。

今回のBTSだけでなく、これまでも数人のK-POPグループのソロ曲をレビューしてきた。

今後は、少しずつ、K-POPも取り入れていきたいと思っている。

 

BTSのメンバーJINのソロ曲『Yours』を聴いた。

この曲は、チョン・ジヒョンとチョン・ジフンが出演するミステリードラマ「智異山」の挿入歌で、ピアノのサウンドが主体となったバラード曲である。

彼の歌声は大きく分けて2つの特徴を持っている。

1つは、この曲の前半部分に多用されているミックスボイス。だが、このミックスボイスには韓国の歌手にありがちなチェストボイス、いわゆる地声の部分も多く見受けられる。

彼のミックスボイスの特徴は音色が甘く、透明感が強い。さらにその甘い音色は主に鼻にかかった響きによるものであり、また、韓国語の発音と相まって、声帯を擦ったような少し扁平的な響きが甘く奏でている。

声の質はどちらかと言えば、ストレートボイスで、いくつもの響きがあったり、幅があり響きが混濁しているようなタイプではない。直線的なのと、言葉のタンギング(アタック)がハッキリと鋭角に入って来るタイプである。

これに対し、もう一つの音色である高音部のファルセットからのヘッドボイスは、非常に艶のある綺麗な響きをした優しい音色をしているのが特徴になる。

このヘッドボイスも響きはストレートで真っ直ぐ直線的にリスナーの耳に届く声の響きをしている。

即ち、彼の歌声は、非常に響きが明瞭であり、一直線にリスナーの耳に届いて来る歌声なのだ。リスナーに不必要な思いや負担をかけない、明瞭な響きの歌声である。

これが彼の歌声の魅力である。

また彼のメロディーの音程の刻み方は、正確で淀みがない。

最後のサビの後のバックメロディーである「ラ タ タ タ ラ タ タ タ 」

この部分の刻みに彼の音程の特徴が非常によく現れていると言える。

 

BTSは、ラップパートを担うメンバーとメロディーパートを担うメンバーの役割分担が非常に明確で、その組み合わせによる絶妙のハーモニーが大きな魅力の一つになっている。

ボーカルを担うメンバーのソロ曲は、個々の力量をはかるのに非常に適している。

彼らの歌声の魅力がどのようにBTS音楽に反映されているのか、今後、折に触れて少しずつ、分析してみたいと思う。