藤井風の少し前にでた新曲だ。

昨日、このMVのビハインド映像が公開された。

 

この曲で、藤井風の世界のラインが整ったように感じた。

ある意味、ああ、これが藤井風の音楽だ、というものが整ったとも言えるのかもしれない。

 

デビューした頃、彼の音楽は非常に意外性に満ちていた。

岡山弁の歌詞といい、スケールの大きさといい、それまでの既存のシンガーソングライターとは一線を画した風体の音楽だった。

ハイトーンボイスの多いJ-POP界でバリトンの歌声というのも耳に新しかった。

あの頃の新鮮な驚きから考えると、私は彼の音楽に慣れたのかもしれない。

今回の曲は、確かにMVの映像も斬新であり、彼の姿形の良さをイメージに作り込んだもののようにも感じる。

しかし、壮大なMVの映像の世界とは裏腹に彼の音楽がなんとなく小さくなったように感じるのは私の偏見なのだろうか。

こんなことを書けば、ファンの人達からは総スカンだろう。

しかし、この数ヶ月、私が彼の音楽を書く気にならなかったのも事実である。

何か彼の音楽、彼の世界が、小さく纏まりかけているように感じるのは私だけなのだろうか。

 

実際、このMVの後に自動再生された昨年の『青春病』の方がずっと私を書きたい気分にさせるのはどういうことなのだろう。

『青春病』の彼の音楽には躍動感があった。

しかし、今回の音楽に私はそれを感じることはなかった。

 

彼の音楽のラインにある種、聴き慣れてしまったのかもしれない、という贅沢でワガママな状態なのかもしれない。

わかっている。

彼の才能に慣れてしまった、というワガママな状態なのかもしれない。

 

そう思いながらも、

彼の新しい世界が見てみたい、

と思った。