天海祐希主演『老後の資金がありません!』の主題歌。

アップテンポのポップな曲調は映画の内容を想像させる楽しい色調。

また彼自身の歌声は伸びやかで、この楽曲の持つ色彩感に統一され、明るい音色が主体になっている。

彼の歌声の特徴である伸びやかな高音は、

「手を握ろうよ 肩を組もうよ

何もなくてもHappy」

このフレーズの「Happy」の音節に集約されて聴くことが出来る。

彼の歌声の特徴は、力強い響きとカーンと高音が頭に抜けていく尖った響きを持つ。

この2つの特色が氷川きよしのポップスの歌を支えていると言え。

 

一昨年の『大丈夫』でも感じたことですが、氷川きよしの楽曲は、覚えやすいメロディーのものが多い。

この「覚えやすい」「単純な」「繰り返し」というフレーズが、実はヒットしやすい楽曲の要素になると考える。

なかにし礼氏や湯川れい子氏など、彼の歌には優れたいい作詞家や作曲家が曲を提供している。

歌手の良さを引き出すのは、楽曲との出会いであって、歌手を生きるも殺すも楽曲次第、という側面を持つと思う。

演歌の貴公子だった彼が、ポップスジャンルへと転身して行くにあたり、上手く楽曲を使っているという感じがする。

 

イメージの転換は彼にとって大きな転機になったと思われるが、それを容認し、新しい氷川きよしのイメージを作って行く事務所の協力が彼を一層引き立てているように感じる。

 

明るいポップス調の楽曲は彼の18番だが、今後も演歌、ポップス、ロックとジャンルを跨いだ彼の音楽の世界がどのように推移して行くのか、期待値を込めて見守りたい。