現在ユニットとしての活動を休止中で、ソロ活動にシフトしているnavy&ivoryの2005年の楽曲。

結婚を目の前に控えた男性からの強烈な愛のメッセージの楽曲。

 

城田優の歌声は、少しエフェクト気味のコンポーズから始まり、高音を強調した歌声になっている。

オリジナルキーよりもかなり音程を上げて歌われているために、彼の少し金属的で細い響きの音色の高音部が続いていく。

 

歌詞の言葉の一つ一つが非常に明確なのは、彼らしい。

特にこの曲においては、言葉にリズムを与えずに、緩急を外して、横一列に言葉を並べていく手法によって、返って聴衆の耳の中に、ゆっくりと言葉が残像のように存在していく。

この手法によって、言葉のメッセージ性が高まり、一つ一つの言葉が非常に立っている印象を持つ。

メロディー自体もそれほど高低があるわけでもなく、歌い上げるというよりは、横に言葉を並べてその場に置いていくことで、語りのような口調で言葉を大切に紡いでいくというメロディーラインになっている。

それに対して、城田優の歌声は、緩急を与えることなく、並列の言葉にタンギングを鋭角に切り込んでいくことで、言葉の存在感をフレーズの中に与えていく。

この手法は、ミュージカルの「話すように歌い出す」というテクニックが生かされているように感じる。

 

歌い方によっては、言葉が滑るだけの歌になりやすい楽曲だが、メロディーの力を借りることなく、語りで歌を伝えていくところは流石と言える。

 

サビの部分で、ややエネルギッシュになるフレーズにおいて、彼の伸びやかな歌声が聞こえる。

 

この曲もオリジナルを踏襲した歌い方だが、オリジナルが、非常にソフトで全体的に包み込むような落ち着いた優しい男性像であるのに対して、彼の歌声からは、強い意思と強い愛情を持った若い男性像が浮き上がって来る。

そういうイメージの違いが歌声で示されていくのも、カバー曲の醍醐味とも言える。

 

 

これで、「Mariaje」は全曲をレビューしたと思いますが、どの曲も城田優さんのサインがきちんと入った彼のオリジナル曲に近い印象を持ちました。

このアルバムは、カバー曲の一つの方向性と新しい可能性を示した一枚と言えると思います。

今後、彼の音楽性がさらに進化することを願っています。