徳永英明とのコラボ曲「Friend」は優しい気持ちに溢れた曲だった。

長年の2人の関係性、相手に対する感情、2人の持つピュアな音楽性。

そんなものが一瞬でわかる。

そんな歌だった。

 

コラボ曲を歌えば2人の関係性がそのまま音楽に現れる。

例えば企画だけで出会った2人の場合、お互いの音楽をどこかで探っている。探りながら歌っている場合が多い。それは相手のことをよく知らないからだ。音楽も性格も知らなければ表面上に現れてくる音楽だけで相手と合わせていかなければならない。だからブレスの間の取り方、音程の取り方の癖、リズムの運び方など何もかも探り探りしながらの音楽になる。だからそれはいつもどこかぎこちなく縮こまった音楽の印象を与える。

しかし相手とプライベートでも付き合いがある関係なら、そんな探りは必要ない。お互いに相手の音楽を尊重するという基本路線は最初から用意されていて、その上でどれだけの関係性があるかが見えてくる。

 

玉置浩二と徳永英明は、玉置が「最も信頼できる男です」と言い切るだけの間柄だ。

そこには理屈はない。2人の関係性が「信頼」という言葉の重みの中で揺るがないものであること、そして遠慮のない間柄であることを示している。お互いが対等で上下がない。すべての感情をさらけ出しても変わらなかった長い年月の上に成り立った信頼であることを私達にわからせてくれる。

 

徳永の繊細で透明感溢れる歌声に玉置のソフトで幅のある声は非常によくマッチする。

繊細さと鷹揚さ。

透明感と色彩感。

2人の声は実に対象的だ。

しかしその対象的な歌声が2つ合わさることで非常に完成されたハーモニーの音色を奏でる。

玉置の歌声が徳永の歌声を周囲から包み込み、ソフトな色合いの中に繊細な一本の音が存在する。

そんな世界を表すのだ。

 

お互いの音楽を知り尽くしたハーモニーは、「Friend」そのものだ。

理屈はいらない。

お互いの感性だけの音の世界。

そして何よりお互いがお互いの音を楽しんでいる。

自分の歌声に相手の歌声が被さってくる世界を楽しんでいるのだ。

 

短い曲の中にハーモニーの世界の真髄を見せた。

そんな世界だった。