氷川きよし、34枚目のシングル。
2019年3月、8月、11月と年間を通して実に3度のリリースだ。
即ち、1年中、この曲を歌い続けた?ということなのだろうか。
私が彼の歌声のレビューを初めて書いたのは、昨年の6月。彼がNHK「うたコン」に出演し、徳永英明とジェジュンと彼の3人で「壊れかけのRadio」を歌った時だった。→ 3人の音楽性が交錯した「壊れかけのRadio」
それまでの私の印象は「演歌の人」だったから見事に裏切られた感があった。
あれから1年、彼はすっかりポップスに馴染んでいる。
「大丈夫」は演歌歌手氷川きよしの真髄とも言えるポップス演歌だ。
明るい曲調を彼の明るくスコーンと抜けた真っ直ぐな歌声が覆っていく。
「大丈夫だよー」と歌う彼の歌声は、どんどん変化していく彼に不安を覚えるファンに向けてのメッセージのように聴こえる。
彼が明るい声で「大丈夫だよー」と歌えば、何もかも「大丈夫だ!」と思えるような安心感を聴衆に与えていく。
彼の一点の曇りもない歌声からは、何の不安感もない。
「大丈夫」を一年歌い続けていく中で、氷川きよしは、演歌歌手からアーティストへとシフトチェンジした。
そのチェンジは、決して「演歌」を歌わないのではなく、「演歌」が彼の中の一つのジャンルになったことを示している。
まさに「大丈夫!」
そう感じさせる自信に満ちた歌声だった。
そして「歌は楽しいもの」「音楽は楽しいもの」ということを思い起こさせる。
「大丈夫」は彼の原点に立ち返った曲なのかもしれない。