2011年9月に発売された20枚目のシングル。
昭和の歌謡曲の様相を呈するこの曲は、和音進行といい、なぜかデジャブ感満載だ。
この曲に彼だけでなく、演歌ジャンルのファンの年齢層を窺い知ることが出来る。
演歌歌手の持つ既存のイメージを打ち破った彼は、まさに演歌界の貴公子なのだろう。
確かな歌唱力とビジュアルを持つ彼だからこそ、このデジャブな歌謡曲が歌えたのかもしれない。
高音の伸びがいい。
やはりこれぐらいの高さの音階は彼の声に最もあっている。
それほどのハイトーンもない中音域の音階が並ぶメロディーは彼にとっては歌いやすかったと思われる。
この曲でそれまでと大きく違う点は、フレーズの最後の響きを抜いて歌っていることだ。
これは、最近の彼は当たり前に使っているテクニックだが、この頃の彼の歌のどこにも存在しなかった。
フレーズの最後の音の響きを抜いて歌う歌い方は演歌に使わないテクニックであり、まさにJPOP。
この歌い方がこの時から出来たのか、それとも元々出来たが、封印していたのかはわからない。
いずれにしてもこの歌い方によって、それまでの曲、例えば「虹色のバイヨン」や「ときめきのルンバ」とは違う印象を持つ。
即ち、さらにこの曲で彼はJPOPジャンルの歌い方が進化した、ということをである。
このメロディーラインの歌声には音声障害を危惧する兆候は見られない。
非常に軽々と楽しそうに歌う彼の姿を見て、やはり彼はポップスの人だと思った。(演歌好きのファンには叱られそうだが 笑)