三浦春馬が郷ひろみとコラボした「言えないよ」を聴いた。
正直ここまで彼が歌えると思っていなかった。

夏のFNS歌謡祭で初めて彼の歌を聴いた時、ミュージカル場面も意外だったが、ソロデビュー曲まで出したと聴いてそれまで私が抱いていた三浦春馬という俳優のイメージとはどうしても一致しないままだったというのが正直な感想だった。
あれから数ヶ月。
デビュー曲は格段の上達を見せた。
キレキレのダンスは身体の芯がブレない。
さらにハンドマイクで歌う歌は呼吸の乱れもなく歌いきっていた。
すっかり曲を自分のものとして消化した姿があった。

郷ひろみとのコラボは彼のたっての願いで実現したとのこと。
それだけ思い入れが深いとあって彼の歌には魂がこもっていた。

ハーモニー部分で郷ひろみのメロディーに対して高音部のハモリを担っている。
郷ひろみの芯のある歌声の上をハイトーンボイスで綺麗に被せてきている。
これが素晴らしかった。
上のパートのハモリは難しい。これをブレることなくしっかり歌いきれるのは音楽的センスとしっかりした基盤を持っていなければ出来ない。彼が歌にしっかり取り組んでいる証拠だと感じた。

郷ひろみと三浦春馬の歌声の音色はどちらかと言えば同質である。
やや甘い中音域の響きは郷ひろみのメロディーパートによくマッチして寄り添った一体感のあるハーモニーを作り上げ、決して邪魔しない。
音楽の流れも郷ひろみの作り出す音楽に寄り添った形になっている。
二つの歌声が帯のように折り畳まれたり伸びたりしながら、一体感のある音楽の世界を作り上げていた。

三浦春馬の歌手としての世界は大きな可能性を秘めている。
俳優としての一過性のものではなく継続的な可能性を持つものだと感じた。