非常に軽い明るい響きの歌声が続く。
この曲を聴く限り、ポジションが眉間から鼻腔にかけて綺麗に当たっている。
伸びのある軽い歌声だ。そのままの響きが中音域から低音域まで続いて行く。
空気の流れにうまく歌声が乗せられている。
顔の前面に歌声が当たっているのがわかる。

ジェジュンという人は歌う時に発声もポジションニングも一定ではなく、曲に寄って変わる。それは意識的に変えているというより楽曲から受ける印象をそのまま歌に表現している。それが彼が言う「オリジナル曲の雰囲気を壊さないように。オリジナルの歌声が聴こえるように歌いました」という方向性に繋がっている。
しかし、どんなにオリジナルに寄せて歌っても彼の歌声にカスタマイズされて出来上がる楽曲は、ジェジュンという色に染め抜かれた楽曲になる。この曲などはその典型的な例の一つと言える。

オリジナルアルバムの「Flawless Love」でも彼は「楽曲によって発声を変えた」と発言しているが、今回のアルバムの方が如実に彼の歌声の変化を楽しむことが出来る。
彼の様々な歌声を聴くにはもってこいの一枚と言える。

この楽曲には彼の気負いが感じられない。
彼自身が本心からこの歌を歌うことを楽しんでいる。
それは発声だけでなく、滑舌に於いても非常に綺麗でスムーズな日本語の発音になっている事からわかる。

久しぶりに明るい彼の歌声を聴いた気がした。

JPOPのカバーアルバムを聴いているとどうしても東方神起で歌っていた頃の歌声を思い出す。特にこの曲には、かつての歌声の要素がたくさん見え隠れする。

9年というタイムトンネルをくぐり抜けて昔のジェジュンに出会った。

そんな気分になった。