声というものは加齢によって変化する。
よく歌手の若い頃の歌声と中年以降の歌声の変化を同じ歌を聴くと誰の耳にも明らかなように。
でも加齢の影響を受けるのは歌声だけではない。
もちろん話し声だって影響を受ける。
自分の若い頃の声を思い出してみるといい。
または、最近、声が出にくくなった。長時間話していると声が枯れる。朝は特に声が出にくい。風邪をひいているわけでもないのに声が出にくくなったと思うなら、それは加齢の影響を声帯が受けているからかもしれない。なぜなら声帯も他の運動器官と同じように筋肉でできているから。
声帯そのものは粘膜だが、それを動かす器官、支えるものは筋肉だ。
よく昔は大きな声が出ていたのに最近は小さな声になった、大きな声が出しずらいと言う人がいる。これなどは加齢によって筋肉が衰え、やせ細ったことによって大きな声が出せなくなっていると言えるだろう。また呼吸器官の筋肉が弱ってきているのかもしれない。
声帯の衰えは歌声だけに限ったことではなく、普段の話し声だって影響を受ける。
単に声の老化だと思わない方がいい。声帯を支える筋肉が衰えているということは他の臓器を支える筋肉も落ちてきているかもしれないからだ。
あなたは自分の声が好きだろうか?
自分の声を意識して聞いてみたことがあるだろうか?
若い頃はもっと綺麗な声が出ていたのに、もっと高い声が出ていたのに、と思うことはないだろうか。
特別な訓練をしていない限り、声の老化は40代から始まる。
もし、出し方が悪ければもっと早い30代から始まっていることもある。
単に声と侮らない方がいい。
声が出ずらくなったということは腹筋背筋が弱っている可能性もある。腹筋背筋が弱ってくれば内蔵の筋肉が弱り、疾患が起きやすい。背中が丸くなる。猫背になりやすい。そんな兆候も実は声の変化から始まっていることがある。
生き生きとした声を出すには肺活量が必要だし、肺活量を確保するには筋肉の力が必要になる。
「声が出にくくなった」というのは何でもない日常のことのようで確実に老化の道を歩んでいる証拠でもある。
声というものは、それを職業にしていない限り加齢に気づくことが少ない。なぜなら見えないから。
肌のように毎日鏡で目にするものは加齢の影響を認識しやすい。そして自分でもなんとかしようとする。
でも声はどうだろうか、自分の声を注意して聞くことなど先ず一般の人にはない習慣ではないだろうか。
ところが声はその人を決める重要な要素だということを知っているだろうか?
アイドルのスカウトマンは、「これだ」と思った子を見つけるとしばらく後をつけてその子の様子を見る。最後に近づいて実際に声を聴くそうだ。どんなに可愛い子でも声の印象が悪い子には声をかけないという。
それぐらい声はその人の印象を決める大事な要素の一つである。
声は加齢の影響を受けるが訓練することで変わる、変えることが出来る。
若い声を取り戻す事もできる。
肉体を鍛えて若さを保つように、声帯も訓練する事でいつまでも若い声でいる事ができる。
フロントボイス唱法を使えば、誰でも自分の声を取り戻し、若さを取り戻すことが出来る。
そんな方法を提供してみたいと思う。
※
小田和正、城田優、草笛雅子はフロントボイス唱法の歌い手。