リトグリが最近公開したMVは、レミオロメンのカバー曲『3月9日』
ちょうど卒業シーズンだ。
この曲を聴けば、それぞれに胸に仕舞い込んだ記憶を思い出す人も多いかもしれない。
少し甘酸っぱい記憶と共に刻み込まれたメロディーでもある。
レミオロメンの『3月9日』が少し幅のある歌声に乗せてエネルギッシュに歌い込んでいくのに対し、彼女達の歌はどこまでも透明感に溢れている。
リトグリの『3月9日』はソロパートとハーモニー部分に分かれている。
ソロパートの一人一人の歌声は、濁りのない響きで、ストレートに耳に届いてくる。直線的な響きの中に甘い歌声が際立っている。
アサヒの細い歌声はこの楽曲の世界観を一気にリトグリの世界へと誘っていく。それは多くの人の記憶に残る藤巻の歌声との違いを鮮やかに描き出す。
低音部のメロディーラインはMAYUのソフトで少し幅のある甘い歌声があり、中音域はmanakaの真っ直ぐに濁りのないストレートボイスが響いてくる。
エネルギッシュに歌い上げていくサビの部分のかれんの歌声は、毅然とした鋭角な歌声の響きで、リスナーの耳を鋭く突いてくる。
それぞれの歌声の持ち味を上手く全体のメロディーに当て嵌めていくことで、リトグリオリジナルの『3月9日』の世界を描き出す。
また、メロディーラインに被さるように作られてくるハーモニーは、非常にソフトで丸みのある響きで、幅広くソロパートを包み込んでくる。
ソロパートの直線的な響きを曲線的なハーモニーの響きで包み込むことで、幅のあるソフトな甘い世界を作り出している。
オリジナルの『3月9日』が物悲しさの中にどこか一つの終わりへの決意を感じさせるのに対し、彼女達の『3月9日』はどこまでも青春の匂いの中で、純粋な汚れのない世界を描き出す。
しっとりと歌い上げていくことで、オリジナルよりもさらに青春の甘酸っぱさを感じさせる。
まだ青春の扉の真っ只中にいる彼女達の描き出す『3月9日』の世界だ。