元旦に公開された『Imitation Rain』の公開に引き続いてのTHE FIRST TAKE での歌唱だ。
この楽曲は彼らのアルバムからの1曲とのことで、ライヴにでも行かない限り、一般の人間は彼らの歌を聴くことは出来ない。実際に彼らが歌うときには、ダンスパフォーマンスがつき、今回のようにマイクの前で直立不動で歌うということはないのではないか、と想像する。
多くのジャニーズグループを過去に見てきたが、失礼ながら、それほどハーモニーが突出したグループという印象はなく、ユニゾンでメロディーを多人数で歌っているグループ、という印象しかない。
そのグループもアイドルということを前面に打ち出したコンセプトであり、ボーカルよりもダンスパフォーマンスに重きを置いたグループの作りになっている、という印象だった。歌の面においては、メンバーの中に1人か2人、上手い人間がいて、その人が他のメンバーを引っ張っている、という印象を持つグループが多かった。
そういう点で、歴代のグループでは、ハーモニーを作り上げる、という部分が難しかったのかもしれない。
ユニゾンの歌唱力で楽曲の良さを出している、というのが、ジャニーズの特徴でもあったと感じる。
そういう点から考えると、SixTONESというグループは果敢に歌唱力を提供しているグループという印象を持つ。
ここが今までのグループと大きく違う点であり、存在感を示す部分ではないかと感じる。
実際、今回の彼らの歌でも感じたことは、1人1人の声の違いが明確であることと、ハーモニーを作りあげる点で、非常に力関係が同等である、ということだ。
今までも何度か折に触れて書いてきたが、ハーモニーを作る方法は大きく2つに分かれる。
1つは、多くのパターンで見られがちな方法で、メインのメロディーに対してサブのメロディーを歌う人達がボリュームを抑えてハモる方法である。メインメロディーがはっきりと聞こえ、それに付随した形のハーモニーが聞こえる。
これに対し、もう一つの方法は、メインパートだけでなく、他のパートも同等のボリュームを持って歌う方法である。
この場合、メインメロディーに対して、他のメロディーもほぼ同じボリュームでかぶさってくることから、いくつものメロディーが交錯した形になり、多重ハーモニーの効果を生み出す。
この方法は、Little Glee Monsterが行っている方法で、この場合、全てのメンバーの歌唱力が同等であることが大前提になる。即ち、どのメンバーの歌声もほぼ同等に聞こえ、同じだけのパフォーマンス力を持って、音楽が奏でられることが条件になる。
これは非常に高度なレベルを要求されるハーモニー作りの方法で、ミュージカルなどのデュエットによく用いられる手法でもある。
しかし、J-POPに於いては、この手法を用いるグループが少なく、それゆえにかつての東方神起やリトグリがボーカルグループとしての評価が高いのは、この理由によるものとも言える。
即ち、かつてのアイドルグループの手法から脱却したのが現在のSixTONESのハーモニーの作り方であり、これが今回の楽曲の中で全員の歌声が同等に聞こえてくるハーモニーの作り方になっているのである。
この部分が顕著に分かるのが、
曲の冒頭部分、
ジェシーのソロから始まるAメロ、さらに田中のラップと京本、松村のハーモニーが交錯してくる部分、
Yeah, Uh, Everyday I wake up, See the world that’s brand new Some places I can never go back for good Oh baby, There’s no going back (Yeah) Oh baby, There’s no going back
また、Bメロ
Reaching out with my hand, Maybe it’s far away
君が負けそうな時には
Don’t worry, We’ll be right here, Hey
この部分の森本のリードボーカル的歌声が立ってくる部分、さらに京本や森本というようにコラボする歌声を変えながら歌い続ける高地のハーモニー作りなど、6人の役割がクルクルと変わりながら、ハーモニーを作っている部分に非常に高いボーカル力をそれぞれが発揮していることがわかる。
このハーモニー部分に対して、サビのメロディー
どんな時も Won’t let it go, We can make it through the night 明日へ繋いでくよ Till the end of time (The end of time) Stay, Wanna stay with you so we can make this alright 永遠に続いてくよ Till the end of time (The end of time)
この部分は、全員のユニゾンになっている。
即ち、Aメロ、Bメロ、は、ラップを交えた歌声の交錯ハーモニーになっており、サビの部分でユニゾンという作りになっているのである。
この形は、ハーモニー部分でサウンドの幅が広がり、サビの部分では閉じて一本のサウンドになる、というサウンドの幅を十分感じさせる作りになっている。
これらの作りが出来るのも、彼らのボーカル能力の高さを示すことになり、今回の楽曲で十分、実力を発揮したと言えるだろう。
これらのハーモニー作りが出来る部分が、SixTONESの大きな特徴であり、従来のグループと一線を画す点でもある。
即ち、彼らの楽曲に於いて、ハーモニーは必然である、ということを示すことに繋がり、彼らが従来のジャニーズグループの評価を覆す存在になり得ることの存在である証明とも言える。