「Kissしたまま、さよなら」は、東方神起3枚目のアルバム「T」の収録曲だ。
2008年頃のジェジュンの歌声はこの頃の歌声の特徴である全体的にウィスパーボイスであり、柔らかい音色になっている。
歌声全体は非常に弾力のある歌声になっており、艶やかで濃厚な音色の中音域から高音域の歌声になっている。
この頃の彼の歌声は、ブレスが全体的に十分回った状態でのたっぷりとした声量になっている。
響きがよく鼻腔に当たり、全体の歌声がフロントボイスのポジションになっているために、前へ前へと歌声が運ばれていく。
彼の歌声はこの2008年から2009年にかけては飛躍的に音域が伸びていく。
それはしっかりと身体を使って、ブレスの力で声を空中に放り上げる手法が取られるためで、ブレスの流れに乗った歌声は綺麗な弧を描いて丸みを帯びた声が届けられていく。
この頃の彼の歌声と今の歌声を比べてみると、確かにこの頃の歌声の方が伸びがあり透明的だが、それは見方を変えると筋肉の未成熟な状態での歌声であり、しっかりとした音色になり切れていないということにもなる。
現在の歌声(特に『Love CoversII』の歌声)では、しっかりとしたブレスが行き渡った上で、成熟した色味の歌声となっており、伸びや透明性も戻りつつあると言える。
それはしっかりとブレスが十分に行き渡った中での響きであり、彼の声はブレスとの関係性に於いて影響を受けやすい歌声とも考えられる。
十分にブレスが行き渡らない場合は、声帯の伸縮が悪くなり、それを力で解決しようとするため、硬く伸びを欠いた突き上げるような歌声になる。
彼の東方神起時代の歌声が素晴らしいのは、このブレスが十分行き渡った形での十分な歌声の伸びと透明性。
これがこの頃の彼の歌声の特徴と言える。