坂本九の「上を向いて歩こう」

彼は、坂本九や水前寺清子は「俺の安心なんだ」と言った。

そこにいるだけでいい、理屈じゃない。

そんな存在の坂本九の「上を向いて歩こう」を彼はカバーした。

 

玉置の「上を向いて歩こう」は、もう玉置のものだと思った。

一つ一つのフレーズや言葉を大切に歌っていく。

そこには彼特有の優しい世界が広がっている。

玉置のあったかい懐の深い音楽の世界だ。

 

玉置の温かさは、大地の温かさだ。

彼の土着の音楽は玉置にしか描けない。

玉置の歌には都会の渇きと土の匂いがする。

玉置の「上を向いて歩こう」は上を向いているようで上など見ていない。

足元を見ながら歩いていく歌だ。

 

最後のオブリガードは玉置ジャズ。

オリジナルの世界を完全に超えた玉置の「上を向いて歩こう」は明るい足元だ。

エネルギッシュに歌い上げていく音の世界。

 

優しさに溢れた世界は、坂本九と同じだった。