たったひとりのアーティスト、たったひとつの曲に出会うことで、人生が変わってしまうことがあります。まさにこの筆者は、たったひとりのアーティストに出会ったことで音楽評論家になりました。音楽には、それだけの力があるのです。歌手の歌声に特化した分析・評論を得意とする音楽評論家、久道りょうが、J-POPのアーティストを毎回取り上げながら、その声、曲、人となり等の魅力についてとことん語る連載です。

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桜の季節になりました。この季節になると思い出す曲の1つに森山直太朗の『さくら』があります。ということで、ベタですが、今回は、森山直太朗を扱います。彼の独特の世界観や魅力について、書いてみたいと思います。

(前編はこちら

後編は、彼の歌声の魅力から、書いていきたいと思います。

親子の声はなぜ似るのか? その意外な理由

森山直太朗と言えば、抜群の歌唱力を持つ森山良子の息子です。私は、歌手の歌声を聴いて分析するのが得意なのですが、やはり、二人の歌声は、非常に共通項が多い、と感じました。

森山良子の歌声と直太朗の歌声の響きは、基本的に同じである、ということを感じます。やはり、そこは親子だなぁ、と。

歌手でなくても親子であると、声が似通っているのが一般的です。今は、個人が電話を持つ時代ですから、親子の声を聞き間違える、ということは殆どないですが、一昔前、家の固定電話を家族みんなが使っていた時代には、よく、親子の声を聞き間違えて話をし始める、ということがあったりしました。

「いやー、声が似ているから間違えたわ」という会話の経験をされた方も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

なぜ、親子だと声が似るのか、と言えば、いくつかの要因がありますが、1つは、顔の骨格が似通っている、ということ。

声は、顔の骨格に響いて発声されます。親子で顔が似通っている場合、骨格も似通っていることが多いです。特に顔の下半分、顎から耳元にかけての輪郭や頬骨の高さなどが似ていると、声が響く共鳴腔が似るために声は似てくるのです。

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それともう一つ、生活環境が影響を与えるとも言われます。生まれた時から、子どもは親の声を聴いて育ちます。

それは、ことばの発音の仕方や声の出し方など、耳で聴いて自然と覚えているんですね。それが実際にことばを発音するときに影響を与えると言われます。

口癖や食べ方の癖などが似るように、親の声を聴いて育った子どもは、やはり音声的に似通った声になる可能性が高いと感じます。

他にも生活習慣や遺伝的要素など、いくつも要因はありますが、「親子は声が似通っている」と感じることは、このような知識を知らなくても、皆さんが感じることではないでしょうか。

森山良子・直太朗親子の歌声を音質鑑定してみた

 

続きはこちらから森山直太朗『ポケットサイズの楽曲に音楽の本質を叩き込む』(後編)人生を変えるJ-POP[第46回]|青春オンライン (note.com)