たったひとりのアーティスト、たったひとつの曲に出会うことで、人生が変わってしまうことがあります。まさにこの筆者は、たったひとりのアーティストに出会ったことで音楽評論家になりました。音楽には、それだけの力があるのです。歌手の歌声に特化した分析・評論を得意とする音楽評論家、久道りょうが、J-POPのアーティストを毎回取り上げながら、その声、曲、人となり等の魅力についてとことん語る連載です。

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今回は、昨年6月に喉の不調でツアーを中止、年末の紅白歌合戦において、見事に復活して歌声を披露した女性ボーカリストSuperfly(越智志帆[おちしほ])を扱います。

音痴だと思っていた中学時代

Superflyは2004年の結成当時は、ギタリストとボーカルの2人の音楽ユニットでした。その後、ギタリストが脱退し、越智志帆1人になっていますが、そのまま名称を使っています。

2007年に『ハロー・ハロー』でメジャーデビュー。Superflyの元々の意味は、カッコいい、凄い、派手好みの、というような意味があります。

ユニット名は、彼女がユニットに加わった時点でつけられていたとのことですが、153センチの小柄な身体から繰り出されるパワフルな歌声は、まさにこの名称通りと言えそうです。

2008年に1stアルバム「Superfly」をリリース。オリコンアルバムランキング1位を獲得後、これまでに6枚のアルバムでオリコンランキング1位を獲得しています。

彼女は、1984年生まれで今年2月にちょうど40歳。愛媛県の出身です。音楽と触れ合うきっかけになったのが、中学生のとき。偶然、5、6人でゴスペルを歌う機会があり、人前で歌ったことが、歌の道に入るきっかけになったとのこと。

自分はずっと音痴だと思っていて、人前で歌うことなど恥ずかしいと思っていたというのですから、自分の才能に全く気づいていなかったということになります。

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歌が自信を与えてくれた

彼女は、小学生の頃には、「自分はなぜ、ここに生まれたのだろうか」とか「自分は何の役割があって生まれたのだろうか」と思い悩み、中学生の頃には周囲とうまくコミュニケーションが取れず、疎外感を味わっていたそうです。

歌う機会を与えられたことで知った楽しみ。素で何の鎧もつけないありのままの姿のように見えた、歌っている人たちの姿に、自分が楽になり、音楽の時間が楽しみになったようです。

また、幼馴染みの友人が、彼女の話し声が好き、と言ってくれたことで、持って生まれた声を褒められたのです。これが自分に自信を持つきっかけになり、ありのままの自分を受け入れられるようになったと言います。彼女の10代は悩み多き時代だったのですね。(

『愛を込めて花束を』の大ヒットから

 

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