昨夜のNHK「うたコン」を拝見しました。
ミュージカル特集で最近にない充実した内容と歌声が心に響きましたが、その中でも平原綾香さん(以後、敬称略)の歌声と表現力の進化には目を見張るものがあります。

今回は、昨夜のうたコンの歌唱から、『からっぽのハート』の歌声についての分析と、彼女の進化し続ける歌声、歌手としてのスタンスについて記事にしてみます。

 

『からっぽのハート』に込められたさまざまな音色

『からっぽのハート』は、一昨年に亡くなった彼女の父であり、サックス奏者の平原まことのことに向けて書かれた作品で、彼女の書き下ろしによるものです。
冒頭の「お願い 息を吸って」という歌詞は、彼女が実際に父親が最期に亡くなる瞬間まで「パパ、息を吸って」と声をかけていた実話を元に書かれたものです。
この冒頭の歌い出しから始まる彼女の歌声の充実感は、素晴らしいものがあります。
ひとことで表せば、「感服しました」です。
私のように曲がりなりにも音大で専門に声楽を勉強してきた人間から言わせれば、今回の歌は、「上手い」以外の言葉が見つからない。
感服するしかないのです。

では何がそう感じさせるかと言えば、歌詞のひとこと、ひとことに込められた歌声の音色です。
ことばの一つ一つが、それぞれに違う音色を奏でていて、それが素晴らしいと感じるのです。

例えば、冒頭のフレーズ「お願い息を吸って 最後までここにいるよ」
の歌い出しは、非常にやさしい音色の歌声です。
ですが、「夢なら覚めないで〜」のフレーズの「消えない傷を抱えても」からは、力強い歌声の音色になっています。
最後の「君のままでいい 君のままがいい」では、細い繊細な歌声になっています。
このように、彼女の歌声は、日本語の単語の1つ1つの持つ色彩をそのまま歌声に表していると言えるでしょう。
さらにこれらのフレーズに続くサビの部分では、この表現はもっと顕著になってくるのです。

「からっぽのハートが君を探して〜」からのサビのフレーズでは、非常に充実した音色を奏でています。
高揚していく気持ちのままにサビを歌い上げ、
「あきらめられないのは なぜ」の「なぜ」の訥々としたひと言の歌い方で、この気持ちを収めているのです。

この続きは以下より

https://note.com/hisamichi0226/n/ncdcca8fb27bf