私は仕事柄、多くの歌手の歌を聴くことが多いです。

記事を書く上で大切にしているのは、歌声を自分がどのように感じるか、ということと、その人がどんな人なのか、ということを理解すること。そして、それをわかりやすい言葉で伝えること、です。

この1年近く、連載を書いて来ました。

そこで気付くのは、長年、トップアーティストとして活躍し続ける人は、必ず、若い頃、「尖っている」ということです。

10代、20代の頃、自分を過激に表現する、いわゆるヤンチャである、ということ。

世間の常識から外れている。

イキっている。

カッコつけている。

そんな感じでしょうか。

 

長く活動を続け、トップアーティストに上り詰めていく人は、大概、このような若い時期を過ごしています。

「尖っている」

というのは、世間の常識から考えると、顔を顰めたくなるようなものですが、

「自分を表現する」

「自分の世界を持つ」

ということに於いては、ある意味、優れた能力と言えます。

音楽の世界だけでなく、どの分野に於いても、名を残す人は、「尖っている」時代を持っていた人が多いのではないでしょうか。

 

それだけ若い頃から、ハッキリと自分を持っている。

自分の感じたままを表現するから、世間から外れたり、常識から外れたりするのだと思うのです。

 

矢沢永吉、長渕剛、桑田佳祐、玉置浩二、徳永英明、YOSHIKI 、hyde、世良公則などなど、特にクリエイターと呼ばれるシンガーソングライターにその傾向は顕著です。

ということは、現代に於いて、常識から外れていても、発言やパフォーマンスが物議を呼んでも、イキっている、カッコつけてると見えても、40代、50代、60代と年を重ねるごとに成長し続け、いい形に治ってくる可能性が大きい、ということが言えると思います。

反対に、今、若い世代でありながら、綺麗に纏まっている、常識的である、というアーティスト達は、もしかしたら、年齢を重ねるごとに魅力を失っていくかもしれません。

 

何十年という長いアーティスト活動は、人生そのものでもあります。

いい時もあれば、良くない時もある。

浮き沈みは人生に付きものです。

そんな時も淡々と歌い続けられる人だけが残っていける世界でもあります。

 

あなたの推しが、少々、世間から外れていても、批判や物議を醸す存在であっても、推しが自分を堂々と表現出来ているのなら、いいのです。

人間は進化し続ける生き物です。

 

尖っているぐらいがちょうどいいのです。