三浦大知が2022年1月1日0:00に配信した新曲『Le Penseur』を遅ればせながら、やっと聴いた。
ファンにしたら、「へ?今頃?」と思うかもしれない。
それぐらい、私は三浦大知から離れていたのかもしれない。昨年から自分の活動の中で叶えたい目標があり、どうしても譲れない。何度、壁にぶち当たっても、どうしても譲れないもの。
だから考える。
考えて、考えて、あれこれやっても結局、諦めきれない。
ああ、やっぱり自分はこれをしたいのだ、と思う。
そんな考えの中で堂々巡りをしていた私には、彼の音楽は重かった。正直、重かったのだ。
だからしばらく聞かなかった。
私の日常にひょっこり音楽のフレーズが浮かぶ。
そのフレーズは三浦大知のものが多い。
『EXCITE』
『Blizzard』
『飛行船』
そして大好きな『music』
それは突然、何かをしてる瞬間にひょっこり顔を出す。
それぐらい、彼の音楽は脳裏に刻まれるものが多い。
他の誰の音楽とも違う。
どこかで聴いたフレーズとも違う。
いつも彼だけのもの。
彼オリジナルの世界を持っているもの。
それが三浦大知の音楽だ。
彼を思い浮かべる時、なぜかその歌声は音楽と同化している。
歌声と音楽に乖離がない。
なぜなら彼の歌声さえも、三浦大知という人が現す音楽の世界の一コマだからだ。
彼の歌声はいつも音楽の世界と同化していて、その音楽の世界観に同化する。
だから彼の歌声は七変化するのだ。
楽曲の色に合わせて歌声の色彩を変えてくる。
多くの人は、この曲を思い起こす時、評価の高い彼のダンスを思い浮かべるだろう。
でも私は、専門家ではないから、いつも彼のダンスに対しては、凄い、という形容詞しか思い浮かばない。
何かを書けば、素人の墓穴を掘りそうである。
今回の『Le Penseur』は見事に彼の今までの歌声と色合いを変えてきた。
あー、こうきたか、
初めて聴いた時、そう思った。
ファルセットからのヘッドボイスの多用。
三浦大知の最もファンが好む魅力的な甘いシャウト気味のチェストボイスやミックスボイスを封印し、全体的にハイトーンのヘッドボイスを多用する。
このことによって、彼は非日常の世界を描き出す。
『Le Penseur』は英語表記の多い彼の楽曲の中で、異質のフランス語表記だ。
そして意味は、「思想家」
このタイトルを見た瞬間、
彼の哲学的思考を感じさせた。
常日頃から彼に感じるもの、
それは音楽人に必要不可欠な「感性」と共に彼の「哲学的思考」
彼は音楽人に珍しく、感性と共に非常に哲学的なのだ。
ロダンの「考える人」をモチーフにしたと言われるダンスパフォーマンスに重ねてきた歌声は、どこか非現実的な歌声。
それがフランスの刹那的で叙情的、幻想的な世界を描き出す。
直情的でなく、一枚、何か幕が幕が張っているような空気感。
それがこの楽曲の独特な世界観を描き出す。
大学時代、フランス音楽を専攻した私は、今回のタイトルを見て、
え、フランス語?と思った。
クラシックの世界では、ヨーロッパ言語が主流の為、大学受験以来、ほぼ英語をしていない私には、彼の英語のタイトルは、いつも少し荷が重い。
でも今回は、慣れ親しんだ言語を見て、嬉しくなった。
そして彼の歌声は、フランス音楽のフォーレやドビュッシーの幻想的世界を思い出させた。
彼の哲学、思想学とも言えるものを垣間見た思いだった。
三浦大知の新しい世界観。
その扉が開いたように思う瞬間だった。