SixTONESの『Imitation Rain』のTHE FIRST TAKEでの歌を聴いた。
こんなことを書くと、ジャニーズファンから総スカンを喰らいそうだが、正直なところ、ジャニーズのグループの歌唱力については今まで懐疑的だったのは否めない。
SMAPから始まる数々のグループがあるが、TOKIOを除いて、彼らの歌のコンポーズの仕方については、一般的に、ソロパートがあり、それ以外のパートについては、どのグループもユニゾンでハーモニーを作る、というパターンが圧倒的に多かったと思う。
だから、いつも感じていたのは、楽曲の良さで評価されている、ということだった。
確かにジャニーズの楽曲はどれも非常にいいものが多い。大衆受けするというコンセプトの部分で非常に良曲が多いのが実状であり、これが国民的アイドルとしての人気の高さに繋がっているという印象を持っていた。
グループ内でのメンバーの歌唱力には個々でかなりの開きがある為に、グループであるにも関わらず、ハーモニーを作りきれていない、ハーモニーを作れたとしてもせいぜい2部か3部のパート分けという印象があり、せっかくの多人数としてのグループの特徴を生かし切れていない、と感じるものが多かったのが正直な話だ。
そういう印象の中で、滝沢秀明氏がデビューさせたというSixTONESとSnow Manだけはハイレベルなスペックを持ったグループという印象を持つ。
その印象を裏付けたのが、今回のFIRST TAKEの動画だ。
このFIRST TAKEというサイトは、歌手の一発撮りを身上としており、歌手の実力が丸裸になるサイトとして多方面から注目を浴びているサイトである。
このサイトで歌う場合は、歌手はそれなりに覚悟を持って行わなければならない。なぜならやり直しが効かないからである。その為、今までは新人の登竜門的な意味合いが大きく、YOASOBIやDISH、優里など、多くの新人がこの動画サイトでのブレイクを発端にメジャーに駆け上がっている。
そんな中でコロナ禍の中、既にベテランと呼ばれるアーティスト達も多く登場するようになった。郷ひろみ然り、MISIA、中島美嘉然り、JUJUなど、その数は増える一方である。
そんな中でのSixSTONESの登場である。
彼らの歌で特筆すべきは、そのハーモニーの美しさである。
ソロパートを担う京本大我をはじめとするメンバーの歌は、それぞれの声の特質が出ていて魅力的であるのは言うまでもない。
それよりも「Imitation Rain〜」から始まるサビの部分、またサビの間に挟み込まれるAメロ、Bメロの部分において、非常に高いハーモニー能力を示していることが、この歌唱からハッキリ聞きとることが出来る。
メインの旋律に対して、上下パートでのハーモニーを作る構成になっているが、各パートのバランスが非常に絶妙であり、ソロパートで各自独自の色彩の歌声を披露し、ハーモニー部分では、その色彩を上手く全体のバランスの中に溶け込ませている。
ハーモニーを作り上げる時のバランス感覚が抜群だということがわかるのである。これはメンバー個々のレベルに差がなく、個々の能力が非常に高いことを示している。
即ち、ハイスペックなボーカルグループとしての実力を示したと言えるのだ。
ともすれば、日頃の彼らのパフォーマンスでは、どうしてもダンスパフォーマンスに目が行きがちになるが、この楽曲によって、彼らの高いボーカル力が発揮され、今後はボーカルグループとしての存在感も示していくことが可能であると感じる。
東方神起がジャニーズ王国の中で存在感を示せたのは、彼らがダンスだけでなく高いレベルでの歌唱力を誇るボーカルグループだったからである。
このボーカルグループというのが、日本には非常に少ない存在であることから、アイドル的要素を持ち、ダンスパフォーマンスも出来るボーカルグループということで、彼らの歌は未だに高い評価を受けている。
今まで正直なところ、この部分が歴代のジャニーズグループの唯一の弱点と捉えがちな部分だったが、今回の彼らの歌唱を聴いて、ボーカルグループとしての路線も十分に活用しながら、幅広いパフォーマンス力を披露出来るグループであるということを示したことから、音楽評論家の中でも高い評価を得ていくであろうと思われる。
このようなレベルのグループが登場することが、J-POP界の牽引になることは間違い無いことでもある。
今後、彼らにはボーカルグループとしての実力を発揮できるような楽曲への取り組みを期待したい。
私も個人的に彼らの歌を十分楽しみたいと感じた。