玉置浩二のコンサート「PREMIUM SYMPHONIC CONCERT2021」を聴いた。

一言で言えば、今年も「歌神」は健在だった、ということ。

非常に充実した歌声を今年も聴かせていた。

 

彼の歌声を聞くと、特徴的な2種類の歌声に大きく分かれることに気がつく。

1つは、非常に濃い色調の充実した歌声だ。

これは曲で言えば、サビの部分やエネルギッシュに歌うフレーズに使われている。

濃厚な色合いの歌声で、非常に艶やかだ。張りのある歌声の中に幅のある響きが存在し、チェロのような力強い音色を奏でる。

これに対し、もう一つの歌声は、非常に色彩が薄い。

柔らかい響きの中に澄んだ響きを感じさせるもので、主に弱音に使われる。

サビ以外のAメロ、Bメロなどに使われ、語りの部分でも使われる。

この2つの音色の組み合わせが絶妙で、これが玉置浩二の歌の色彩感に繋がるものと言えるだろう。

 

いつものように今回も何度もマイクを外した歌声を披露した。

マイクを外した場合、多くの歌手がボリュームダウンを感じる。

確かに歌声は聞こえても、マイクを通した歌声に比べると明瞭さに欠けることが多い。

しかし玉置は違う。

彼の歌声はマイクを外しても印象が全く変わらない。

単にマイクという音声機器を外しただけという印象しかなく、ボリュームも声の明瞭さも何も変わらないのだ。

これが彼が「歌神」と呼ばれる所以に違いない。

 

彼の歌声はこの数年、何も変わらない。

昨年は心臓のバイパス手術を受け、随分とスリムになり、酷く心配したが、今年はもうすっかり元に戻っていた。

声の充実度、ボリューム、言葉の明瞭さ、色彩の豊富感。

何も変わることのない歌声を披露し続けた。

そして何よりも「歌を慈しむ心」

これが年々、彼の中に増しているのを感じる。

自分の歌を大切な宝物のように胸の内側に抱いて、聴衆に歌声を届けてくる。

ある時は力強く、ある時はそっと囁くように。

 

そう、

やっぱり彼は「歌の神様」だった。