ボーカルテクニック第一条「歌手はアスリート」
歌う人間にとって姿勢は最も重要だ。
最終的にはどんな体勢でも歌えなければならない。それはダンスをしながら、または椅子に座ったまま、ある時は、寝転がって歌うこともあるだろう。
その中心的役割を果たすのは、腹筋力と背筋力。
どんな体勢になっても、しっかりと身体から息を吐き切り、歌声に変えていかなくてはならない。
一概に腹筋と背筋と言っても、歌手の場合は、多くが想像するような運動選手が持つ筋肉が割れるような腹筋と背筋を言うのではない。
歌で重要な腹筋と背筋は、体幹部分の筋力だ。
その為、一見、ふくよかに見える歌手であっても、内部に潜む体幹力は、その肉体から想像するものの比にならない。
非常に引き締まった筋肉を内部に潜ませている。
もし、チャンスがあれば、胴回りを触らせてもらうと良い。
どんなに痩せている人でも、その部分だけは、しっかりと筋肉がついている。
そうでなければ、ブレスで声を空中に放り上げるという動作は決して出来ないからである。