今回のショーで一番玉置の音楽性が表れていると思ったのが、この曲だ。
アップテンポの中でエネルギッシュに言葉を繋いでいく。
玉置の歌がどんなアップテンポの曲でも言葉が流れていかないのは、彼の独特のタンギングによる。
エネルギッシュな歌声をしっかりとコントロールしながら、口角付近の筋肉は非常に柔らかく自由に動く。
即ち、彼の歌声は真っ直ぐにズドーンと身体の体幹を通って外へ出ていく。その為、口角から顎にかける筋肉は非常に自由で余分な力が入らない為、どんなにアップテンポの言葉数の多い歌であっても、自由に口が動く。また言葉を立てて歌うことが出来る。
この曲の弾丸のように言葉を繋いでいくサビの前の畳み掛けるように歌うフレーズは彼ならではのものである。
サビに入ると彼の歌声はそれまでの小刻みな歌い方から、長いレガートの滑らかな唱法に変わる。
その転換は見事だ。
そして彼の朗々とたっぷりとした豊かな歌声に私たちは酔いしれることになる。
「JUNK LAND」は玉置音楽の魅力満載の世界である。
リズムの揺れ、エネルギッシュな歌声、前へ前へと紡いでいく音楽の流れ。
そのどれもが彼ならではのものであり、彼の音楽の持つ土の香りの漂うものだ。
誰も真似ることのできない彼独自の音楽の世界。
それがこの曲を支える。
玉置浩二ショーは、3年のブランクを経て、今年の5月に放送された。今まで6回の放送分すべてが毎週7月半ばまで再放送される。
私はそれほど彼の歌を知らない。だから彼の歌声の記憶は「安全地帯」の楽曲のイメージが強く、パワフルでエネルギッシュ、都会的、というイメージを持っていた。しかし、昨年、彼のコンサートに2度行って、彼の音楽の世界の幅の広さに感服した。歌手としての確かなテクニック以前の彼が作り出す「玉置音楽」の世界に感服したのだ。だから玉置浩二ショーの再放送は私個人的にも非常に楽しみにしている。
これらの再放送を観ることで、遅ればせながら彼の歌の世界に魅了されつつある人間の1人として、少しは知識を深めることが出来るかもしれない。
それにしても彼はパワフルだ。