たったひとりのアーティスト、たったひとつの曲に出会うことで、人生が変わってしまうことがあります。まさにこの筆者は、たったひとりのアーティストに出会ったことで音楽評論家になりました。音楽には、それだけの力があるのです。歌手の歌声に特化した分析・評論を得意とする音楽評論家、久道りょうが、J-POPのアーティストを毎回取り上げながら、その声、曲、人となり等の魅力についてとことん語る連載です。
この連載企画も47回。今回はパワフルな歌声でカバー曲をYouTubeで配信するなど、精力的な活動を続けている広瀬香美を扱います。実は、私は彼女の楽曲をほとんど聴いたことがありませんでした。元々、私はクラシック畑出身。さらに彼女がデビューし活躍した1990年代は、子育ての真最中で、音楽番組どころではなかったのです。そんな私でも、彼女の名前も『ロマンスの神様』も知っている。如何にこの曲がメガヒットだったかということの証明ですね。その後、彼女がYouTubeを使って、多くのJ-POP曲を曲の解説と共に自身のピアノの弾き語りによってカバーしているということを知り、いくつかの動画を拝見しました。また、2月にビルボードライブ大阪で行われた「広瀬香美LIVE”WINTER QUEEN 2024″」で、直に彼女の歌声を聴かせて頂く機会を得ました。そこで感じた彼女の歌声や人間的魅力、さらにデビュー当時からの歌声の変遷などについて、深く掘り起こしてみたいと思います。
(前編はこちらから)
歌声の音質鑑定
広瀬香美の歌声の特徴を音質鑑定してみました。
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非常に伸びやかな響きを持っている
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弾力のある響きで、低音部から高音部までほぼボイスチェンジがない
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声量が豊か
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声域はソプラノ
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明るいトーンの響きを持つ
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声の幅はそれほど広くない
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響きは濃厚だが軽やか
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ハスキーさはどこにも見られない
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艶のある響き
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滑舌が非常に明瞭
以上のような特徴が見られます。
彼女は、今年、58歳。この数年はYouTubeでさまざまな歌手のカバー曲を弾き語りしていますが、非常に卓越したピアノを披露しています。
また、流石に作曲学科出身だけあって、伴奏のアレンジは見事ですね。非常に歯切れのいいピアノで、まさにピアノと歌が一体化している、広瀬香美ワールドの魅力満載の世界です。
年齢とともに加わる濃厚な響き
続きはこちらから広瀬香美『天上から祝福のラッパを吹き鳴らす音のエンジェル』(後編)人生を変えるJ-POP[第47回]|青春オンライン (note.com)