たったひとりのアーティスト、たったひとつの曲に出会うことで、人生が変わってしまうことがあります。まさにこの筆者は、たったひとりのアーティストに出会ったことで音楽評論家になりました。音楽には、それだけの力があるのです。歌手の歌声に特化した分析・評論を得意とする音楽評論家、久道りょうが、J-POPのアーティストを毎回取り上げながら、その声、曲、人となり等の魅力についてとことん語る連載です。

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今回は、きゃりーぱみゅぱみゅを取り上げます。2021年、デビュー10周年を迎えた彼女は、今年、アメリカを始めとする海外4カ国7都市のワールドツアーを開催中。多くの海外ファンに支持される彼女の魅力と中田ヤスタカが彼女のためにプロデュースする世界に迫りたいと思います。

読者モデル、ブロガー、そして芸能界デビュー

きゃりーぱみゅぱみゅ(以降、きゃりー)は、1993年生まれの今年30歳。高校時代は、原宿ファッションの読者モデルとして雑誌に掲載されたり、アメーバブログで独特の言葉回しや写真のセンスなどで人気を博し、芸能人を抑えてランキング1位を取るようなブロガーでもありました。

そんな彼女が音楽界にデビューしたきっかけは、友人のフィッティングについて行った場所がイベント会社のアソビシステムで、中田ヤスタカのイベントに誘われたことだったと言います。

たまたま中田ヤスタカのイベントに出場する高校生DJを探していたアソビシステムの社長中川が彼女に好きなアーティストの名前を聞き、彼女が中田ヤスタカの名前を出したことから誘われたのでした。

実は彼女は、当時、中田ヤスタカの音楽ユニットCAPSULEを父親から勧められてよく聴いていて、とても好きなアーティストだったとか。その本人のイベントに誘われたことを非常に驚いたと言います。

こうやって彼女は、『TAKENOKO!!!』というイベントで芸能界デビューを果たしました。その後、中川は、彼女のプロデュースを中田ヤスタカに依頼。高校卒業後の2011年8月にミニアルバム『もしもし原宿』でメジャーデビューしました。(Real Sound/2021.11.16)

このアルバムに収録されている『PONPONPON』のMVをアルバム発売に先駆けてYouTubeで配信したところ、海外でも動画が拡散され、注目されるようになります。

翌2012年に発売したフルアルバム『ぱみゅぱみゅレボリューション』はオリコンや世界各国のiTunesのエレクトロチャートで1位を獲得し、エレクトロポップ歌手として一躍有名になりました。

また、この年には「第54回日本レコード大賞」の特別賞を受賞。NHK紅白歌合戦に「紅白2012きゃりーぱみゅぱみゅメドレー」として『ファッションモンスター』『つけまつける』の2曲を披露し、多くの人に自身の存在を印象づけました。

世界中が目を離せない存在として、ワールドツアーも大成功

 

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