ジェジュンがカバーした中島美嘉の「愛してる」を聴いてみた。
先ず第一声から全く違うと感じた。
「愛してる」
この表題にもなっているこの言葉。
何度も繰り返されるこの言葉をどう表現するのか、ここがこの曲のキーポイントになる。
ジェジュンの場合、この「愛してる」の言葉に非常に重きを置いているのがわかる。
高いキーであるにも関わらず、決して響きを抜かずに濃厚な響きで「愛してる」の文字の一つ一つを噛みしめるように丁寧に発音しながら歌う。
これに対し、中島美嘉の「愛してる」はあくまでも単語一つの括りとして歌われる。
即ち、ジェジュンの「愛してる」は「あ」「い」「し」「て」「る」であるのに対し、中島美嘉の「愛してる」「あいしてる」なのだ。
ジェジュンの「愛してる」は、どの文字も同じだけの重量を持つのに対して、中島美嘉の「愛してる」は最初の「あ」に重きが置かれ、後に続く「いしてる」はクルンと回転する。
「あいしてる」になる。
これが先ず一番最初の違いである。
次に感じた違いは、そのフレーズの歌い方である。
中島美嘉の「愛してる」は細く綺麗なソプラノボイスで軽く抜いて歌われる。
これに対し、ジェジュンの「愛してる」は、非常に濃厚で決して響きを抜かない。
ここに、両者の「愛してる」という言葉に対するイメージと解釈の違いを感じる。
中島美嘉の場合、「愛してる」のフレーズの語尾の響きを抜くことで、切なさを表すのと同時に重くなりがちなこの言葉をサラッと軽く表現している。
これに対し、ジェジュンの「愛してる」はあくまでも逃げない。
「愛してる」という言葉の持つ重量感を正面からきちんと受け止め、歌い流さない。
ここに両者の「愛してる」の言葉に対するイメージの違いを大きく感じることが出来る。
このイメージ感の違いは、曲全体の解釈に及ぶ。
中島美嘉の「愛してる」はどこまでも軽く爽やかさを感じさせながらも切々と愛を訴えるのに対し、ジェジュンの「愛してる」はもっと切迫している。
一つ一つの言葉の重量感を丁寧に表現しながら、噛みしめるように「愛」を訴えていく。
あくまでも深刻にならない中島美嘉の「愛」と、どこまでも本質を見極めようとするジェジュンの「愛」
この両者の「愛」のイメージ感の違いが曲全体を覆う曲調の違いになって現れていると感じる。
ジェジュンが歌うとオリジナルを超えると言われるのは、彼自身が曲に対するイメージをハッキリと持っている証拠だろう。
「カバー曲を歌う時は、オリジナルの雰囲気を壊さないようにしている。聴く人がオリジナルを思い浮かべられるように歌う」と彼は発言しているが、彼はオリジナルを思い描きながら、自分のイメージを曲に載せて歌うことで、彼独自の世界観を曲に与えている。
それが、彼が歌うと「ジェジュン」というサインの入った別の曲に生まれ変わる所以ではないだろうか。
そんなことを思いながら、両者の歌を聴き比べた。
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