CDTVに出演したジェジュンの「未来予想図II」を聴いた。Mステと同じ曲目だが歌から受ける印象は随分異なっていた。その違いと原因を分析してみた。

 

結論から言えば、Mステでの歌よりCDTVの歌の方がずっと安定していた。そう感じる要因はいくつかある。

先ず、最近気になる彼のブレス音。

これはどちらにも存在する。但し、Mステの方は胸式呼吸によるブレス音がその意味を成さないほど彼の胸にブレスが入っていなかった。ブレス音は腹式呼吸では存在しない。即ち胸式呼吸においてのみ存在する音であり、彼はこれを多用する。胸式呼吸の場合、息は浅く入り胸のあたりで止まる。さらに彼の場合、鼻から吸うのではなく口から吸うため、その呼吸音は全てマイクが拾うことになる。これが彼の歌に存在するブレス音の正体だ。それを魅力的と思うか思わないかは、個人の感覚だろう。但し、余りに多いブレス音は本来の歌声の響きの邪魔になる場合もある。

Mステでは気になるほどのブレス音が、なぜかCDTVではそれほど気にならなかった。その原因はMステに比べてCDTVでは彼の息が深く入っていたことによる。

これはMステは生放送、CDTVは事前収録という違いが大きく作用しているように感じた。

「生放送はいまだに緊張する」と彼自身が話すように、画面からも彼の緊張は伝わってくるほどだった。それは全てのブレスが浅く入っていると感じることからもわかる。緊張をすることで、横隔膜の動きが悪くなり、支えが上に上がってしまう。そのことによって呼吸が深く入らない。特に胸式呼吸の場合は胸の上部までも到達せず、非常に浅い部分で止まる可能性が大きい。そのために息を声に変換する時に息漏れをしてしまう、という状態になりやすい。またブレスの不安定さは音程の不安定さにも直結する。いくつかの音程に於いて、上ずった響きや下りがちな響きが存在している。

 

これに比べて、CDTVでは最初から非常に落ち着いた歌を展開している。同じように胸式に依るブレス音が存在するが呼吸が胸の部分まで到達しているために全ての息の声への変換がスムーズに行われている。Mステのように息漏れの音が存在せず、それだけエネルギッシュな歌声になっている。また上体がしっかり使えているためにブレスが安定し、音程のブレもなく非常に落ち着いたいい演奏になっている。

これらの違いは、生放送と事前収録という形態の違いが大きく影響していると考える。

また、生放送の為の緊張状態はブレス音だけでなく彼のパフォーマンスにも現れている。

CDTVではいつもの彼の特徴であるフレーズに合わせて大きく腕を使い上体を折り曲げて歌う、腹筋も背筋もしっかり使えている状態が見て取れるが、Mステではそれも少なかった。1フレーズの短い歌唱では緊張を解いて歌うのは非常に難しかったかもしれない。

 

このように同じ曲であってもその時その場の状況によって、歌手の歌は大きく影響される。だからこそ、唯一無二の歌なのであり、同じ歌は決して存在しない。どんなに同じように歌ってもその時その時で歌手の歌は異なる。今、聴いている歌声は二度と同じものは存在しない。

 

これらの歌と音源ではまた彼の歌は異なる。それが生歌の魅力というものだろう。

これはジェジュンに限ったことではなく、どんな歌手にも存在する。

それが歌の醍醐味でもある。

好きな歌手の同じ歌を聴き比べてみるといい。その時の彼らの状況がきっと歌声に現れているに違いない。