この曲を聴いていて一つ気づいたことがある
それは、彼は母音の「あ」「お」が縦ではなく「い」や「え」と同じようポジションニング、即ち、横に開くのだということだ。それは口の中の形が横に広がるという感じがする。
そう思って彼の歌っている口元を思い出してみると、確かに明らかに縦に口を開いているという印象がない。縦よりもどちらかといえば横に開いているという印象を持つ。

バラード曲のこの曲は冒頭、静かに始まる。語り口は爽やかで、歌声にマッチしている。
無色透明なストレートボイスは彼の最も魅力的な歌声だ。
この声と、高音部の少し突き上げ気味の甘い歌声の対比によってこの曲は歌われている。
彼の高音部も非常に特徴的な音色であり、時折、フレーズの最後に倍音らしきものが顔を覗かせる。
これがさらに彼の歌声を魅力的にしている。

発声を変えてからの三浦大知の進化は、バラード曲での声の色彩の多様さだ。このようなバラード曲と前記事にあるようなアップテンポのリズミカルな曲。
このように彼は歌手としての多面性を持つ。
その多面性を支えるのは、歌声の進化だ。
発声を変えたことで、自然に力を入れなくても発声できるようになり、声に伸びやかさが増した。

これらがアルバム「球体」の機動力になっていることは確かだと思った。


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二松学舎大学の塩沢教授によるカルチャーセミナーです。
三浦大知は研究対象になり得るアーティストであり、私のような音楽面からではなく、言葉面から塩沢教授は解明して行きます。私も受講させて頂きますが、興味のある方は下記までお申し込み下さい。

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日本の流行歌、その魅力と秘密 すみれの花咲く頃〜三浦大知まで