リクエスト頂いて、東方神起時代のこの曲のレビューを書くのに、久しぶりに聴きなおした。

多くのファンが未だに東方神起時代の彼の歌声に固執する。

確かに5人の東方神起の楽曲のほぼ全てと言ってもいいほど、彼の歌声が東方神起そのもののサウンドの色と言っても過言でない。それほど、人々の記憶の中に東方神起の楽曲と共に彼の歌声が刷り込まれている。

しかし、私個人としては、過去の歌声が好きな人には申し訳ないが、今の歌声の方がずっと充実した響きに聴こえる。

 

この楽曲では彼は歌い出しとサビの部分を歌っている。

即ち、彼の歌声で始まり、彼の歌声で終わる。この頃の東方神起の楽曲の典型的なパターンでもある。

歌声の特色としては、この頃の特徴的音色。

即ち、低音は無色気味で鼻腔に響かせたチェストボイス。中音域低めから中音にかけては無色気味のミックスボイス。中音域から高音域にかけては、ハスキー気味な芯のあるミックスボイス。さらに高音域では、ハスキーな中に細い芯のあるミックスボイスという風になる。

全体的に感じるのは、響きが細い、ということだ。

この頃の歌声は実際には響きの幅がなく、幅があると感じていたのは、無色気味のハスキーな響きが細い芯の響きの周囲に存在しているために、全体的な響きがソフトで無色気味の響きに聴こえていたということで、それが全体的な音色であり、絶妙なバランスで存在するためにヒーリングボイスという心地よいサウンドの音色を持っていたということになる。

現在の歌声はこの頃の歌声の芯の響きの部分がもっとしっかりとした幅のある響きになり、周囲を囲んでいた無色のハスキーな響きが消えたことによって、全体の響きが芯のソフトで濃色な響きに統一されたことによって、音色が変わった、と感じるのである。

そういうことから考えると、彼の歌声は変わったのではなく、ある意味、成熟したというのが正しい。

 

この曲は今から10年前の歌声であり、20代前半の歌声ということになると声帯的にもまだ機能的に完成されておらず、成長段階の歌声であり、声帯器官であるということになる。

そういうことから考えてみると、彼の歌声がその後変化し、今の歌声になっているのは当然の結果とも言える。

何度も書いたことがあると思うが、声帯という器官の完成は男性の場合は、25歳前後になる人が多く、それまでは肉体的に成長するとも言える。その成長に伴って、声の音色が変わるというのも十分ありえる変化である。

 

現在の歌声で彼がこの曲を歌うと、もう少し全体的に濃色で幅の広い響きの歌になるのではないかと想像出来る。

 

声にはその人の内実の充実度が現れる。

それゆえ、若い頃の歌声には伸びやかさや透明性は高くても、表面的な響きになる人が多い。

青年期後半から内実を伴った歌声の変化が現れることは多く、人間的充実度に関連して歌声も変化する。

要するに、歌を歌う人の人間的成長がそのまま歌声の音色にも現れるということになる。

これが他の楽器には決して見られない音色の変化である。