この曲のレビューリクエストを頂いた。

この曲は「Love Covers II」のファンクラブ限定版CDに収録されているボーナストラックだ。

玉置浩二の「to me」のカバー曲である。

 

非常に充実した歌声が冒頭から続く。

中音部、低音部は非常に濃厚な響きで、高音部になってもその濃さは変わらない。

久しぶりにこれほど濃厚で充実感のある歌声を聴いた。

 

今までの彼の歌声では高音部を突き上げるような歌い方が主流だった。

それは声全体の伸びが欠け、力で押す歌い方になっていたのだ。

即ち、そこにはかつてのブレスの流れに歌声を乗せて空中へ放り上げるという手法が全く忘れ去られ、発声ポジションが喉に下がったまま、力で音を押し上げる、という手法が取られていた。

 

しかし、このアルバムではその部分が見事に修正されており、かつてのブレスの力によって歌声を空中へ運ぶという手法が取られている。

その為に高音部は非常に伸びやかで充実した歌声になっている。

かつての東方神起時代の歌声がそのまま成熟した音色になっているのである。

 

高音部の変化に伴って、中・低音部は非常に濃い色彩の充実した歌声が戻ってきており、これらの部分においても非常に伸びやかで透明的な音色になっている。

 

この曲はそれらの歌声を自由自在に操り、非常に濃密で伸びやかな中・低音域から、そのままの音色で高音域へと動いていく。

 

彼がこの発声をする限り、どんなジャンルの歌を歌っても声帯を痛めることはなく、長く歌い続けることが出来るだろう。

しかし、何かの拍子で発声が変わるなら、今までのようなハスキーで突き上げるような歌声になる可能性は捨て切れない。

 

彼の場合、韓国語で歌うことと日本語で歌うことの発声ポジションをどれぐらい使い分けれるか、または、韓国語の歌であっても日本語のポジションで歌えるかどうかが鍵になる。

 

録音スタジオの画像をInstagramにあげたところを見ると、韓国語でのアルバムの収録作業をしているのかもしれない。

韓国語で歌うことで、せっかく掴みかけている今のポジションを忘れないことだけを願う。

そうでなければ、また元の突き上げたような歌声に戻ってしまう可能性があるからだ。

 

二つの言語を歌う場合の難しさが彼の歌声に現れている。