ジェジュンの東方神起としてのデビュー曲「HUG」は韓国語Ver.International Ver.日本語Ver.の3形態で収録されている。

この3つの歌についてそれぞれレビューを書いてみた。

 

1.韓国デビュー曲「HUG」

        2004年1月14日に発売(舞台初出演は2003年12月26日)

作詞 ユン・ジョン パク・チャンヒョン
作曲 パク・チャンヒョン

ジェジュン18歳の時の歌声。
彼はこの曲の中で冒頭の出だし16小節と最後とのソロを取り中間に1フレーズだけソロを取っている。
この曲の構成はデビュー曲ということもあり万遍なく全員がソロを取る構成になっている。
彼の声はオーディションを受け、練習生として3年間を過ごしたあとの歌声だ。

彼の1番安定している中音域の歌声がちょうどメロディー音域と重なっていて非常に安定した響きを奏でている。オーディションの頃に比べるとただ単に細く綺麗だった声が若干しっかりとした芯のある響きの声に変わっている。

彼のパートは大きく3か所。
最初の出だし16小節。
これはデビュー曲として「東方神起」というグループの歌い出しでもある。
この部分を彼が取っているということは、このグループの歌声は『彼の音色で行く』というメッセージにも取れる。事実、途中彼以外のメンバーがたくさん歌うが最後はやはり彼の声で終わっている。
これは彼が単にビジュアル的にセンターを取っていということだけではなく、彼の声にメインヴォーカリストとしての「華」があったからとも感じられる。
また、コーラス部分でもメロディーが中音域に入ってくると彼の声の音色に全体の声の音色が変化する。それぐらい彼の中音域は特徴的な響きを持つ。
彼の一番いい部分を見抜いて彼がメインの楽曲構成になっているとも言える。
また彼の特徴である歌い出しの言葉の入りの部分は自然で非常にソフトだ。歌い出しの言葉の子音(この曲で言うなら、H音になる)がきれいに入っている。

H音の場合、強すぎたり弱すぎたりととてもコントロールが難しい子音の1つだが綺麗に処理している。

こういう部分に彼の音楽的センスがあると感じる。これは持って生まれたセンスとしか言いようがない部分とも言える。仮に教えられたとしてもそのテクニックを自分の中に取り込み沢山の言葉に応用していくセンスとそれを身に着ける真面目さ。
真面目さがないとどんなに秀でた才能を持っていても伸びない。

彼は、歌手部門でオーディションに合格したのではなく、容姿部門で優勝した。彼自身も中学2年くらいまで音痴だったと言っている。音痴だったという片鱗は、「My Little Princess」などに垣間見ることが出来る。

彼の最大の武器は、素直な性格。
これに尽きる。
これがあったからジェジュンはここまでの歌手になったのだと言いきれる。

優れたアーティストに必要なのは才能ではなく、人のアドバイスを聞き入れる素直な性格とコツコツと努力する真面目さ。

この2つが備わっていなければ、どんなに才能を持っていたとしても、優れた歌手にはならない。

それが音楽というものと言える。

 

2.「HUG」International Ver. 

1stアルバム「TRI-ANGLE」収録2004.10.22
作詞 Ken Kato
作曲 パク・チャンヒョン

この曲も1stアルバム「TRI-ANGLE」に収録されている。

この曲は最初に韓国語Ver.次にInternational Ver.そして最後に日本語Ver.が発売された。

このInternational Ver.で、彼の声は韓国語Ver.とは比較にならないほど伸びやかに歌っている。
この時期に他の曲を喉声で歌っている人物と同一人物とは思えないほど綺麗な伸びやかな発声だ。

なぜ、このように伸びやかな歌声なのか。
原因として考えられることの一つに言語がある。
彼自身も語っていたように韓国語と日本語では発声ポジションを変えている。彼は、ことばを正確に発声するために練習していく過程でこのテクニックを独自に身につけたのではないかと思う。なぜなら他のメンバーにその兆候はなく、実際ポジションを変えているメンバーは彼だけだからだ。

韓国語には激音や合成母音のように喉元を使って発音する独特の音がある。日本語にはない発音であり、子音で終わる単語も多い。そのような言葉を歌う時、正確に発音しようとするとどうしても喉元にポジションを取ることになる。
それに比べて英語の発音は子音で終る単語はあったとしても激音や合成母音は少ない。

彼のこの曲の声を聞いていると後の日本語の曲のポジション取りに非常に似ている。この曲でなんとなく身に着けたポジションが彼のその後の歌手人生に大きく影響を与えたことは明らかだ。

これを彼自身が自覚して身につける努力をしたのか、それとも喉に負担をかけまいと考えながら歌っているうちに自然に身についたのか、それは本人に聞いてみないと分からないが、歌のテクニックというものは一度出来たことは必ず身体が覚えている。
偶然出た声であっても、それは身体がどこかで覚えているのだ。
確かなことは、偶然出来るようになってもそれを自分のテクニックとして定着させるには並大抵の努力では出来ないということ。
それが人間の感覚の不思議なところと言える。

彼のベストな発声ポジションはクラシック歌手のそれに非常に似ている。
クラシックの発声を勉強したことのないPOPS歌手でこのような発声をしている人を私は他に知らない。
彼のベストコンディションの歌声はオペラ歌手の発声と似ている。そして身体を使って歌う方法はまさにクラシックの発声だ。
そのテクニックをいつどうやって身につけて行くのかは、日本での活動を検証する中に答えがある。

 

3.「HUG」Japanese Ver.   2004.11.25 来日記念Single 「HUG」
作詞 Kenn Kato

作曲 Chang Hyun

この来日記念盤で彼は「東方神起」のメンバーとして初めて日本語を歌った。本格的に日本でデビューする約5ヶ月前の事だ。

日本語Ver.で聞くと本当に彼の声がまだまだ幼くて痩せた少年の声だという事がとてもよくわかる1曲である。

彼は母国語の韓国語もそうだが、とても言葉の発音が鮮明だ。どの国の言葉を歌っても言葉が非常に明瞭である。この頃の彼は言葉の発音というものに対してなるべく正しい発音をしようと心がけているのがわかる。
この頃は、ちょうど韓国で1stアルバムが出てChristmas Song集が出るまでのちょうど中間の時期になる。彼の声が少し伸びやかになり、それでも曲によっては上手く歌えたりそうでなかったり一番安定していない時期とも言える。

この日本語Ver.の「HUG」には、彼のその伸びやかな声よりはハスキーな声が目立つかもしれない。言葉を正確に発することにとても神経を使い、デビューした頃のポジションで歌っている。その方がこの曲に関しては安定感を感じるのだろう。
それでも韓国Ver.よりは声が幾分か伸びているように思う。

 

韓国語・英語・日本語と3つの言語によって歌われた「HUG」は、英語Ver.が一番、彼の声の伸びやかさを引き出してくれたと言える。
このようにいくつかの言語で同じ曲を歌うと言語によって発声ポジションの違いが明確になって面白い。

彼の現在の歌声にも通じる基盤がここにある。