SM練習生になる為のオーディション曲

ジェジュンが中学3年生15歳当時の歌声。

曲目は、チョ・ジョンヒョンの「その痛みまで愛したの」

 

この歌を聞くと、彼の声質の一番安定した部分、即ち、中音域が、今の声とほとんど変わらないことがよくわかる。

彼の持っている音域の中で最も安定しているのがこの中音域である。おそらく彼は元々の声はバリトンだったのではないだろうか。特にこの頃は、まだ声変わりを終えたばかりであり、経済的事情から何の訓練も受けていない状況だったのだから、元々彼が生まれ持っている歌声ということになる。

 

バリトンとは、男性の3つの声域、すなわち、テノール(高)バリトン(中)バス(低)のうちのちょうど真ん中に位置するものであり、彼の声は、バリトンの中でもハイバリといって、高い方のバリトンに属する。

一方で声質は、非常に柔らかく伸びのある音色をしている。

16歳(日本でいう15歳)というのは、男性では完全に変声期を終了している時期。

ジュンスが変声期終了まで10年かかったというのは有名な話だが、普通、男性の変声期は12歳前後から始まり14.5歳には終了している。その為、このオーディションを受けた中学3年生では終了していると考えられる。

 

この当時の彼の声を聞いて、最も興味を引くのは、彼の声が伸びやかな声質とテノールのような音色を持っているところだ。普通、テノールのように高音域を持つ人は中音域がとても不安定で、特にレッスンをしてない素人の場合、響きが当たらず息が混じったような声になるのが特徴。

それゆえ、プロとしてやっていくとき、テノールの人は中音域を最も鍛える。なぜなら、中音域に響きが乗らないと、得意な高音域では綺麗な響きで魅了することが出来ても、その他の音域では別人のような声になり歌手としては認められないからだ。

彼の場合、とても細く伸びやかな高音域の片鱗が見える。全体に声がまだ弱々しく、身体を使わずに持って生まれた声と息だけで歌っているのがよくわかる。また、全体の声は細く伸びやかなテノールの様相に対し、中音域だけはバリトンのような声質をしている。

今とは比べものにならないくらい弱々しい細い声だが、中音域だけは見事に正しいポジションで響いている。

この点が、この人の声の不思議なところと言える。

この声を聞けば、専門家なら、歌手として伸び代が十分あると感じる。

まず変な癖が全くない。

発声期において自己流の癖を持っていると、ボイストレーナーはとても苦労する。しかし、彼は素直な癖のない綺麗な発声をしている。息の流れに載せて自然に発声する。この時点で、彼は何もレッスンを受けていないはずだから、これは天性のものと言わざるを得ない。

 

歌に自信のある人は何がしか自己流の癖を持っている人が多いが、彼は恐らくそこまで歌い込んでこなかったと思われる。

そして重要なのは、彼の中音域が綺麗に発声ポジションに当たっているということだ。

彼は元々の地声が中音域であり、鼻腔に当たった地声を持っていたということになる。

 

また彼の歌声は、ソロ歌手として大切な「華」を持っている。

素直な歌声の中に聴く人の心を惹きつける要素である華やかさの部分を持つ。

これが歌手として最も大切な要素である。

何の手も加えられていないような原石に近い歌声。

その中にも彼の魅力的な歌声の原点を見いだすことが出来る。

 

もっと自信を持って歌えば、さらに良い声が出たと感じる。

緊張しやすい彼の一面がよく表れている歌唱だ。