ジェジュンの新曲「Ray of Light」を聴いた。1月から始まるアニメ「ランウェイで笑って」のエンディングテーマとしてタイアップしている。

スローテンポな中音域からの歌声で始まった歌は、音域が徐々に高くなり、サビの部分においては彼特有のハイトーンボイスになっていく。また展開部においてはさらに音域が上昇する。
今回の歌もハイトーンボイスが強調された作りになっている。

ジェジュンの歌声が東方神起時代に比べて変わったと感じる大きな要因にこの「高音部」への拘りがあるかもしれない。
その兆候は、JYJ活動の前、1年間、JJYとして録音した楽曲「いつだって君に」の中で既に現れていたとも感じる。
「いつだって君に」の冒頭の彼の歌声は非常に高く細い。
東方神起時代の歌声に聴き慣れていた耳には、これほど彼の声が高く細かったのだとあらためて感じさせる歌声だったほど違和感を伴う歌声だったのを記憶している。
あれから9年。彼は韓国と日本のソロ活動の中で高音に拘ったものが多い。数少ないJYJ活動だったが、彼はハーモニーで高音部のハモリを担当している。3人の中で最も音域が広く高音部を持つ歌手としては当たり前のことだったのかもしれない。

この日の彼の高音部は綺麗に鼻腔に響いていた。
彼の場合、中音域の高音部になるに従って鼻腔に綺麗に響きが当たっていく。その音域よりも高くなると最近は響きが頭頂部に回っている。東方神起時代は、そのまま直線的に響きが突き進んでいた。そのために高音部がハスキーな響きになっていたが、日活復帰後の彼の歌声の高音部にハスキーな響きは存在しない。鼻腔の響きを持ったまま高音部へと上がり、頭頂部から響きが抜けていく、という歌声になっている。この違いが「ジェジュンの歌声が変わった」と感じる大きな要因だと思う。
これは日本語の発音が大いに関係していると考える。
即ち、どんなに高音部であっても日本語の言葉がつく限り、言葉の語尾に母音が存在するため、響きを最後まで保つことが要求される。そうでなければ言葉の語尾が不明瞭になり何を歌っているかわからなくなるからだ。そのため、ブレスの勢いで響きを抜くことが出来ない。最後まできちんと響きを保って歌うためにハスキーさが消え、響きが残るという現象になっていると考える。

「Ray of Light」は、曲の前半部に彼の甘い中音域が聞けるメロディーになっている。
ハイトーンボイスが評価される彼の歌声だが、私は彼の甘い中音域の方が好きだ。濃厚な響きの甘い中音域は彼が最も出しやすい音域であり自然体の歌声でもある。
サビのメロディーは覚えやすく単純な作りになっている。一度聞けば印象に残りやすく、今までの彼の歌とは異なり容易に誰もが口ずさみやすいメロディーだ。

前の記事にも書いたが、今の彼にとって必要なものはいい曲との出会い。
誰もが簡単に口ずさめるいい曲との出会いさえあれば、大きくブレイクする。
単純で強烈で印象的なサビのメロディーを持つ曲との出会いが歌手には必要不可欠な要素だ。
ファンでなく一般人の耳に留まる単純なメロディー。

この曲がその足がかりになればいいと思った。