この日、彼が歌ったもう一曲は、ISSA とのコラボ曲で、ディズニー映画から「リメンバー・ミー」

この曲は、一族に伝わる秘密の歌をテーマにしたもので、メキシコの「死者の日」という日本で言えば「お盆」の日と同じ意味に近い。

「リメンバー・ミー」は「私を忘れないで」という意味と「私を思い出して」という2つの意味がある。

 

 

この日、この時に、この歌を歌わなければならなかった巡り合わせに過酷な運命を感じる。

それでも彼はこの曲を堂々と歌いきった。

真っ赤に泣き腫らした目には涙が溢れていても、それでも歌手としての歌には揺るぎない練習の成果がみて取れた。

どんなに精神が動揺していようと、歌詞一つ間違えることなく、音程一つ上ずることなく歌い切るその姿は、彼がこの番組出演の裏だけでなく、長期間のステイホームの中で、どれだけ練習を積んできたか、ということを証明するものでもあった。

 

 

歌は決して裏切らない。

練習を積んだもの、真摯に取り組もうとするものには、必ず手を差し伸べる。

 

この日の彼の歌は、彼の築き上げてきたものがどんな状況であっても揺るがないものを示した。

 

「リメンバー・ミー」

余りにも切なく余りにも悲しい彼の歌声が耳に残る。

歌詞の一つ一つが彼と三浦春馬との10年に及ぶ親交の軌跡を辿るようで、運命の過酷さを感じるだけだ。

感情をISSAとのカップリングの中で一気に爆発させたような充実した歌声を、そのままISSAの歌声が受け止め、力強い歌声になっていたのが印象的だった。

 

城田優がこの悲しみを乗り越え、さらに歌手として次のステージに昇っていくのを願っている。

それだけが歌手として三浦春馬に報いる唯一の方法だ。

前へ進むこと。

これだけが残されたものに許された道である。

 

 

 

それにしても余りにも現実は悲しい。