5月3日に放送されたものの再放送をあらためて見直した。

 

「メロディーを他の人と歌うとは考えたこともなかった」という玉置浩二にとって、この曲は特別なものかもしれない。

昨年、2度、聴きに行った彼のコンサートでもこの曲はアンコール曲の最後の曲であり、ギター一本での弾き語りもあったほど、この曲に対する玉置自身の思い入れの深さを感じる曲である。

だから「この曲だけは自分の好きなように歌える曲だ」と言い、「他の人と一緒に歌うことは考えたこともなかった」という言葉になるのだろうと思う。

その曲をジェジュンが歌った。

 

「メロディー」はジェジュンの音域から言えば、低い。

その為、彼はオリジナルキーよりも3度ほど上げて歌っている。

この日のキーポジションはジェジュンに合わせたものだったが、微妙に玉置の部分では半音下がっている。それが2番の前半のコラボ部分の2人の歌唱に現れている。

 

ジェジュンはこの日、非常に声の状態が良かった。

高音部は伸びやかで、サビの部分の高音の歌い上げて行く部分でも、フレーズの最終音まで綺麗に空間に伸びている。

久しぶりに伸びやかな彼の高音を聴いた気がした。

また低音部から中音部にかけてのフレーズでは、チェンジボイスを非常にうまくしている。

低音域の響きのポジションを胸に落としすぎないようにコントロールし、中音域から高音域にメロディーが動くにつれ、響きのポジションをうまく鼻腔に響かせている。

非常に慎重にコントロールされた歌声、という印象を持った。

かなり練習を積んだのではないかという気がした。

それはいつもの彼の思い入れの深い歌い方と比べて、少し音楽と距離感のある歌い方だったように感じる。

もちろん、彼の持ち味である一言、一言に魂を込めて歌って行くというスタンスは変わらない。ただ玉置浩二が横にいることで、そのスタンスを保ちながらも、どこかで冷静に自分の歌を見つめている、という客観視した視点を感じたのが、いつもの歌にはない部分だった。

それほどやはり本人とコラボするということのプレッシャーは半端なく彼を襲ったということなのかもしれない。

しかし、彼が堂々と自分のパフォーマンスを披露できたというのも、今までの彼にはない進化だったように感じる。

 

彼がこのコラボによって何を感じ、獲得し、成長したのか、それが「Covers II」にどのように生かされているのかを知りたいと思った。

 

 

 

カバー曲を歌う歌手が増えている。

その中でジェジュンがどのような世界観を構築し、自分のポジションを確立していけるのか、非常に興味がある。

 

彼の奏でる音楽の世界は非常にオーソドックスで、歌手としてのスタンスも王道を行くオーソドックスさだ。

アップテンポの音楽の多い中で、ゆったりとしたJPOPの王道を歌い継ぐ担い手としてのポジションを確立できるかどうかが今後の勝負どころになるだろう。

 

そんな思いを抱きながら、玉置浩二とのコラボを聴いていた。