星野源を一躍有名にした曲。

「逃げ恥」が再放送されているのを観た。

当時、リアルタイムで観ていなかったので、流行に乗り遅れた人である。

ドラマの内容の意外性といい、歌詞の中の「夫婦を超えていけ」がどういう意味なのか、ずっと疑問だったがやっとわかった。

それと同時に、このメロディーが流れると皆が元気になるのもわかるような気がした。

 

アップテンポで、音楽が前へ前へと転がるように展開して行く。

今のJPOPの特徴である典型的な曲で、言葉数が非常に多い。

普通に歌っていれば、何を歌っているかわからないほど、どんどん歌詞が滑って行く。

言葉が落ちてしまう。

それなのに彼の使う言葉の難しさと言ったら、普通、それは歌には使わないだろう、という言葉をどこからでも引っ張ってきて、普通の言葉達と同列に扱うのだ。

彼の中では、言葉はボーダーレス。

どんな言葉も同じで、垣根がない。

歌いにくい言葉も歌いやすい言葉も関係ない。

彼が使いたいから使うのだ。

 

そんな歌詞たちを彼はエッジの効いた尖った発音でうまく処理して行く。

どんなに音楽が前に進もうと、彼の口から出る言葉たちは、音節の後から文字になって浮かび上がってくる。

さすがだ。

これが星野源の世界だ。

 

言葉と音の融合性は、彼の場合、そこに音のリズムと言葉のリズムが合わさって見事な一体感を出して行く。

 

そして必ず中盤に前へ前へと進みがちな音楽の流れを止めるフレーズが出現する。

スローなテンポで音楽の流れを一気に引き戻す。

音楽は一旦、その場に止まったかのように音も言葉も静かに佇むのだ。

 

そして空白の後、一気に加速して行く。

前へ前へと音も言葉も流れ、最後の地点に争うかのように到達する。

 

これが星野源の音楽の世界だ。

 

 

もう少し、いろいろ彼の音楽を聴いてみたい、と思った。