2018年8月発売の「勝負の花道」のカップリング曲。

リクエストを頂いて、音源を聴いてみたが、この曲は私の記憶にあった。

どこでいつ聴いたのか、具体的には思い出さないが、甘く切ないメロディーが確かに記憶に残っていた。

 

この歌では、歌声の語尾の響きを抜くという今の歌い方に繋がるタンギングの使い方がされている。ただ、低い音においては、まだ演歌調の歌声が顔を覗かせる。

 

全体にブレスを混ぜた透明感を与えた音色であり、彼の持ち味である甘い響きを全面に出した音色に仕上げている。

また甘く切ないメロディーを具現化するのに、声のポジションを前へ前へと意識的に当てているのがわかり、鼻腔に当てたポジション取りで歌われている。

サビの部分になると気持ちの高揚に呼応するかのように、歌声もエネルギッシュに歌い上げていく形を取っている。

 

一瞬の音楽の間の後の歌声には、やや力みがみられ、タンギングの角が立った発音になっている。

これも感情を抑えた分の気持ちの高揚感がタンギングの鋭さになって現れたと言えるかもしれない。

 

いずれにしても彼の特徴的な歌声である甘い中音域が堪能できる一曲になっている。