ハードロックだ。

力強く張りのある彼の声が気持ちいいほど、鳴り響いている。

アップテンポで冒頭からトップギアだ。

リズムが縦に刻まれている中で、歌は小刻みに動きながら横のラインを奏でる。

前へ前へどんどん進む音楽の中で、しっかりと彼は自分のリズム刻みを守って前のめりにならない。こういう部分はさすがだ。

音楽の勢いに流されることなく、その場に踏みとどまってきっちりとリズムを刻んでいる。音楽の流れに流されてしまっては、歌が流れてしまう。そこをしっかりと踏みとどまっている。

アクセントとタンギングを強く取っていくことで、言葉にリズムと緩急を与え、音楽の流れに乗っている。

 

歌声は全体に鼻にかかった甘めの声。

響きが混濁しており、演歌とは全く違う音色を見せる。

力強い歌声の中にも響きを抜く透明的な音質をフレーズの語尾に与えて、色彩の濃淡を現す。

 

完全に完成されたハードロックの世界だ。

こういう歌を歌う時の彼の歌声は自然体でいいと思った。