MISIAが出演した(A-Studio+)

彼女が歌った「あなたにスマイル」はリモートで日本国内のみならず海外からもミュージシャンが参加して演奏した。

 

いい顔してる。

 

そう思った。

 

彼女は本当に楽しそうだった。

楽しくてたまらない。

穏やかでいい顔をしていた。

いつもの研ぎ澄まされた顔ではなく、穏やかで音楽を純粋に楽しむ顔。

 

リモートは歌手の素の顔を映し出す。

そして、参加した誰もの顔が輝いている。

 

彼女の歌を聴きながら、音の立体感の中に身を置きながら自分のパートを演奏するミュージシャン達。

彼らにしか味わえない臨場感がそこにある。

 

 

コロナによって音楽業界は大きく影響を受けている。

世界中から一切のコンサートが消えた。

世界から音が消えた瞬間だった。

 

それでも音は生き続けている。

誰もが音楽を口ずさみ、誰もが歌を思い出し、そして音楽を諦めなかった。

リモートによって一つのものを作り上げる。

新しい形の音楽が生まれようとしている。

そしてそれに参加するアーティスト達が本当に音を楽しんでいる。

 

「こんな非常事態に、何が歌だ、音楽だ。自分達が好きなことをやってきただけじゃないか。生きるために必死なんだ、音楽をやってきた奴が食えないなんて当たり前じゃないか」という批判がある。

 

芸術に従事している者たちが仕事もなくなり、休業補償も貰えないことに「生きていくだけで精一杯の仕事をしているのに、好きな仕事をやってきた奴らに何がわかる」という批判がある。

 

確かに音楽も演劇も、生きていくのに必要なものではないのかも知れない。

生きるか死ぬかのギリギリの生活をしている人達には、何が音楽だ、何が歌だ、という思いがあるかも知れない。

 

だがその人達は知っているだろうか。

歌うたいは、食べるものを削っても歌いたいのだ。

ギタリストは、寝る時間を削ってもギターを弾く。

たとえ食べるものがなくなっても楽器を手放さない。

食べ物と楽器のどちらかしか選べなければ、間違いなく楽器を選ぶ。

それがミュージシャンだ。

そうやって命を削っても音楽をやりたい人間がたくさんいる。

 

MISIAの歌は楽しさに溢れている。

歌える喜びに満ちている。

そんな彼女の歌を聴くとき、人はみんな笑顔になる。

音のリズムに身を任せて身体を揺するだけで、心が晴れてくる。

それが音楽だ。

 

音楽がなくても確かに生きていけるだろう。

でも音楽は人を笑顔にする。

 

音楽は人を幸せにするのだ。