この曲は2003年2月に発売された5枚目のシングル。第45回レコード大賞を受賞している。

 

先日、2019スペシャルコンサートのDVDでもこの曲のレビューを書いたが、その時の歌声と発売当時の歌声を聴き比べると、彼の歌手としての足跡を感じる。

 

先ず、この頃の歌声の特徴である全体に存在するビブラート。

これが歌の冒頭から顕著だ。非常にこぶしの回った歌声になっている。

また演歌の特徴である低音部の唸り、さらにどの音域も決して響きを抜かず、全てのブレスを歌声に変えているところは、まさに演歌のお手本ともいうべき歌唱になっている。

また音階の取り方が非常に直線的で、決して横に流さない。音楽を縦のラインで直線的に繋ぎ、なだらかな曲線を描かず、音程のエッジを深く切りとって歌っていく。

非常に男性的でエネルギッシュな歌になっている。

全体の歌声の色調は明るめだが、セリフ直前の最後のフレーズだけは、哀切を含んだ甘めの色調になっている。

 

彼の演歌の特徴は、このように断定的で明るくエッジを深く切り込んでいける鳴りのいい歌声と、最後の音節にあるような哀切を含んだ甘めの混濁した響きの歌声の2種類が主流を占める。

これらに最近はポップスを歌うことで多彩な色が加わったと感じる。

 

若い頃の彼の歌声の最も特徴的な部分を示す一曲だ。