2018年6月に行われた「TheReunion in memory」のライブ映像が、毎日、彼の公式オフィシャルサイトから1曲ずつ配信されているが、この曲はライブでの定番。

この曲に関しては、歌い出しだけのワンフレーズだけがフロントボイス。あとは全ての声が喉声の地声になっている。

彼の感覚とすれば、全てを鼻腔に入れたフロントボイスポジションに声を当てているつもりが、結果的に冒頭のフレーズ以外は喉に落ちているという状態のように聴こえる。

エッジの効かせた歌声になっているが、彼の場合、エッジを効かせてもそれほどの強い声にならない。これが彼がなるべくフロントボイスのポジションに声を入れようとしている現れとも取れる。

この頃の彼は、まだ力で押そうとしていない。あくまでも鼻腔から空気の流れに乗せて歌おうとする意思が見て取れる。ただ、結果的に鼻腔にうまく当たらない、また声帯の反応が悪いという状況で、どんなに前へ声を飛ばそうとしても前に飛ばない、身体に張り付おいているというジレンマの中で歌っているようにも見える。

 

こうやって聴いてみると、彼の歌声がこの頃は1曲の中でフロントボイスのポジションになっている部分とそうでない部分があるのがよくわかる。大体の部分において、中・低音域は鼻腔に当たったフロントボイスになっており、高音域だけがポジションがずれているという状態のように感じる。

これは、彼の元来持つ声帯の生理的音域に関係する。

彼は音域が広くハイトーンボイスを持つが、元々の声帯の持つ生理的音域は中音域だと思われる。その為、それほどポジションを意識しなくても中・低音域に於いてはフロントボイスになりやすく、高音域は、フロントボイスの発声法によって身に付けた音域のために、発声ポジションがずれると、喉に力の入った喉声になりやすいのがわかる。

 

これらのことから、彼の歌声の変化の原因が、韓国語と日本語の2種類を歌ってきたことによる言語的ポジションの難しさが原因にあるのは間違いのないことだと感じた。