日本でのソロデビューシングル「Sign」のカップリング曲。

「Sign」が力強い楽曲なのに対し、この曲はミディアムバラード。

非常に慎重に歌っているのがわかる。

日本語の発音は非常に正確であり、この曲に不明瞭な発音の部分がほぼない。

この日の彼のこの曲の歌声は、なるべく鼻腔へ入れようとしているのが感じられるが、今一つ、声帯の反応が悪く、前へ歌声を飛ばすのに苦労している様子が感じられる。

声を前へ飛ばそうとしても、なかなか身体から離れず、身体にまとわりついて飛んでいかない状態を「声のあたりが悪い」と言うが、声帯の反応が重く、ブレスを送っても前へ飛んでいかないという感じが歌声から聴き取れる。

ただ、高音に関しては、この曲はそれほどの高音がないため、下から突き上げるような歌い方にはなっていない。

彼もなるべく鼻腔のポジションへ音を入れようとしている意思が見受けられる。

これは彼が「日本語の歌い方を忘れないようにしていた」と話すように、彼の中での感覚を思い出しながら慎重に一言、一言のポジションを考えて歌っている、という姿勢を感じる。

 

彼の歌声が昔のようなフロントボイスのポジションに入っていたなら、この曲はもう少し伸びのある歌声になるはずだ。

ポジションが若干ずれている為、どうしてもブレスの流れに乗りきれていない部分があり、そこが伸びを欠いている原因となっている。

ではどのようにズレているのかと言えば、歌声を聞く限り、若干、喉側に声が落ちてしまっており、もう少し全体に上にポジションを取ることで解決できる状態と考える。

 

この曲は彼の東方神起時代を思い起こさせるような楽曲のメロディーで、非常に彼の甘美な歌声には合っていると言える。

以前の透明的で伸びのある歌声で歌ったなら、かつての彼の歌声を思い出す人も多いだろうと思えるほど、東方神起時代の楽曲の雰囲気を持つ曲であり、彼の歌声の良さを引き出す楽曲とも言える。

 

歌声は少しのポジションの違いで、実際に出てくる声が異なることと、歌声の行こうとする方向性が変わる。方向性が変わることで、出ていた高音も出にくくなる、ということはよくある話で、方向性を示すだけで優れた歌手なら修正出来る。

客観的アドバイスは歌手には必要不可欠のものである。

どんなベテランでもそれは必要であり、例えば、加齢と共に落ちて来た歌声の歌手がある時から、声を取り戻して来るなどの場合には、必ずボイストレーナーの存在とボイトレがある。そうやって何歳からでも歌声は鍛えられ、また修正出来る。

優れたボイストレーナーの存在は、歌手生命そのものに大きな影響を与える。

 

ジェジュンの場合、韓国語と日本語の発声ポジションの違いをきちんと把握できるかどうか、使い分けれるかどうかが鍵になる。

彼の歌声が他の曲でどのようになっているかは、このライブ映像を一曲毎に分析することでわかるような気がする。