氷川きよし4枚目のシングル。2002年8月のリリースだ。

 

この曲も以前、好きな曲をブログで尋ねたときに名前が多かった曲の一つ。

初期の彼の歌声の特徴を非常によく現している。

この頃の彼の声の特徴の一つに低音域の歌声がある。

しっかりとこぶしが回っていて演歌歌手の基本の発声に忠実に歌っているということを感じる。

現在の彼の歌声にはここまでのこぶしを感じることは少ない。

 

この曲で使われている彼の歌声は、非常に色が濃く、中・低音域には全ての音にこぶしが存在する。

高音部のロングトーンにはこぶしが存在せず、伸びと鳴りが良い。

しかし、それ以外の部分では、頻繁にこぶしが存在し、全ての音節にこぶしが存在するという歌い方になっている。

演歌というものの特性を十分に意識した歌い方になっているのを感じる。

 

彼は「こぶしをつけるのに苦労した」と話しているように思うが、確かに元々ストレートボイスの歌声を持つ人が、ここまでのこぶしをつけるのには、相当の努力が必要であっただろうと想像する。

練習熱心で、非常に真面目に音楽に取り組むという彼のスタンスがあってこそ、ここまでのテクニックを身につけることが出来たのではないかと思う。

 

音楽は、取り組む人の姿をそのまま映し出す。

真摯に真面目に取り組む人には、必ずそれだけの成果を与えるものでもある。

また即席で身に付くものは何もなく、時間をかけ、何度も挫折し、辛抱強く取り組む人にだけ与えられる特権でもある。

 

彼の歌声がデビュー当初、ここまでの演歌テクニックをしっかり身につけているのは、彼の努力の賜物であり、彼もまた、違った意味で歌声を作り替えた歌手の一人であるということがわかる。