氷川きよし2枚目のシングル。

2001年2月21日リリースだ。

この曲の歌声は1枚目よりももっと顕著な演歌声になっている。

全体にビブラートの強い色合いの歌声であり、フレーズの途中や終わりに必ずこぶしが存在する。

それはまるで演歌のお手本のような優等生らしい見事なこぶしだ。

演歌の基本に忠実に、こぶしを入れて歌っている。

全体の音色は今より明るめで細い。その細い歌声に故意的にこぶしをつけている。

 

この頃の歌声は、元々の彼の歌声というより、作られた歌声という印象が拭えない。

鼻腔に完璧に入れられて響かせている部分や、長音符には必ずこぶしをつけて歌う部分など、自然にこぶしが回ったというよりは、こぶしをつけて、歌声を作り上げていく、という印象が拭えない。

確かに綺麗な歌声だが、力強さや野太さは感じず、「演歌の貴公子」というのは、外見だけでなく、この歌声からのイメージもあるのだということがわかる。

演歌歌手にしては、線が細く繊細で神経質な印象の歌声だ。

声量も今よりずっと少ない。

高音部のロングボイスの伸びは、この頃から健在で、元々、細い伸びのある歌声の持ち主であることがわかる。

ただ、この音色と声のボリュームでポップス歌手としてデビューしていたら、それほどブレイクしなかったかもしれない。

素直な歌声は、ポップス曲では印象に残りにくいかもしれない、と感じる。

演歌だったからこそ、彼の歌声が返って新鮮に聴こえたということは十分あり得ると思った。

 

氷川きよしがこの頃の演歌界に新しい風を吹き込んだことは間違いないのだろう。

彼ほどの歌声の持ち主でも、最初から十分な歌声を持っていたのではなく、長く歌い続け、努力を積み重ねる中で、今の鳴りのいい歌声や声量を身につけて来たということが、最初の頃のCDから感じ取れる。

彼の歌声も年月と共に変化して来たのだということをこれから検証していきたい。