真夜中の2時頃に歌わせるNHKもNHKだが、それに応えて歌う城田優はやっぱり歌手だ。
「おやすみ日本」の中の「眠いい音楽会」の城田優の歌を聴いた。
尾崎豊の「I Love You」と松本英子の「Squall」の2曲を歌った。

城田優がJPOPのカバー曲を歌うのを何度か聴いた。聴くたびに上手くなると書いたらファンの人に失礼だろうか。
2時と言えば、どんなに頑張って起きていても一番眠くなる時間帯だ。神経が立っていても身体は寝ようとする。
彼は「こんな時間にいけるかなぁ」と言いながら彼は鎖骨の窪みをマッサージしていた。

鎖骨の窪みはリンパの流れを良くするツボだ。この部分をほぐすのは歌を歌うのに有効的だ。
狭いスタジオの中で本番が始まって1時間以上、彼は座ったまま。当然、身体の筋肉は硬くなっている。そして首回りも。
リンパのツボに少し刺激を与えるだけでも身体は反応する。彼はそういうセルフメンテナンスを心得ている。そう思った。

「I Love You」も「Squall」も歌手城田優の特徴が良く出ていた。
歌いだしのナチュラル感はこの人の持ち味だ。どこにも余分な力が入っていない。透明な音色で始まる歌い出しから、音楽が進むに連れて音色が増していく歌は、最近の彼の歌の特色を良く表している。
発声ポジションが一定で揺れない。チェストボイスからヘッドボイスへの転換もスムーズで、多くの歌手に見られる音量ダウンがこの人にはなく、しっかりと前でポジションが掴めている証拠だ。

「I Love You」は多くの歌手がカバーしているが、彼の歌には気負いがなかった。尾崎豊の世界と違って、非常に優しい世界を現した。模倣でなく楽曲を完全に自分のものとして消化していた。
「Squall」は女性の歌だ。彼は全編を透明感のある歌声で歌った。これもあくまでも城田優の「Squall」

カバー曲を歌うのは、自分の色に染め上げて自分の世界が具現できてこそ、メリットがある。そのためには、その曲を自分のものとして完全に消化できるかどうかにかかっている。そうでなければオリジナルを超えることは出来ない。
そういう点で彼は完全にこの2曲を消化していたと言えるだろう。
それはミュージカルで培った表現力、歌唱力が大きい。それを支えるのは確かなテクニックだ。

彼は今年「PIPPIN」と「ファントム」に主演した。「ファントム」はWキャストだったが「PIPPIN」は彼一人の主演だった。この「PIPPIN」で城田優はさらに大きく歌手として飛躍したと思う。それは公演中の歌よりも、すべての日程が終了した後に出演したFNS歌謡祭での歌唱はさらに上手くなっていたからだ。
今年、彼が飛躍的に伸びた部分は、高音部だと思う。「PIPPIN」の最高音の安定感がそれを証明している。
数多くのミュージカル作品に出演する度に彼はボイトレを受ける。それが歌手城田優の実力を確実に進化させていく。

アルバム「UNO」から7年。
別人のように進化した城田優の姿がある。

来年2月のソロコンサートを楽しみにしている。
彼はもっと進化してるだろう。