「Lullaby」は、彼の10枚目のシングルで、彼自身初のバラード曲。

「The Answer」の約4ヶ月後、2010年12月に発売されている。

今まで、三浦大知と言えば、ダンスをしながら歌う人、というイメージで、曲目もR&Bのものが多かったが、この曲で初めてバラードを披露している。

バラード曲を歌うには、豊富な声量とロングヴォイスに耐えうる響き、多彩な表現力が求められる。

この曲を歌う彼の歌声は、今までのどの曲よりも多彩で、綺麗な響きだ。混じりけのない透明な響きが曲全体を覆っている。

とくに、冒頭部分からのフレーズに使われている中音域は、彼の声の中で最も魅力的な響きで、少し甘味のある深い響きの色を奏でている。

また、全編を通して、芯のあるしっかりとした響きが、耳に心地よい。

この曲のキャッチコピーである「全てを包み込むような優しさをもった、至極のバラード」そのものの歌声が、今までの彼のイメージを払拭した1曲とも言え、この曲を境にオリコンチャートでも常に20位以内にランキングされるようになっていく。

後半に彼自身の声の重なりで作られるハーモニーは、それぞれのパートの歌声が際立っていて、非常に綺麗で幅のあるハーモニーを奏でている。これは、彼が、低音部、中音部、高音部と、どの声域に於いても、統一の響きの歌声を持っていることによる相乗効果で、互いのメロディーの音楽性がぶつかり合って、一つの音楽を作り上げているのを感じる。

このように、彼自身が「手に入れた」と言った新しい歌声は、三浦大知の歌手としての可能性を限りなく広げ、その声を安定的に身に付けていくことで、彼は、どんなジャンルの歌でも、自分の色に染め上げれるだけの歌手としての基礎体力を身につけたことになる。

歌手三浦大知が、大きく可能性を広げた一曲と言える。